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2005年3月25日

これまでの対談を振り返って(能登原 伸二)
株式会社アイ・ティ・イノベーション 取締役

能登原 伸二さん能登原 伸二(のとはら しんじ)さん
株式会社アイ・ティ・イノベーション 取締役
株式会社ジャパンエナジーの情報システム部門において、長年、情報システムの企画、開発、運用までの幅広い業務に携わり、ITによる業務改革、収益向上を支援してきた。また、その実務を経験する中で、システム開発における開発方法面の必要性を認識し、C/S向け開発方法論の制定、導入を推進。常に顧客と共に考え、行動し、成果を上げることをモットーとしている。

優れたリーダーも失敗や苦しみをバネに成長した

― まず、対談をされてきて感じた全体的な印象は?

能登原伸二さん

能登原
人にお会いしてお話を聞くこと自体が好きなので、対談は私にとって、何よりもまず楽しいものでした。それに、今後仕事をしていく上でも、またちょっと大げさに言うと、人生を生きる上でも参考になることが多かったです。白石さん、服部さん、梶川さん、工藤さんと、すでに仕事を通じて存じ上げている方と対談したのですが、対談をしたことでより親密になることができたと感じています。

― 確かにこのような機会でもないと、改めて話さないような内容も多かったですね。

能登原
ええ。私もかつて「日経システム構築」の取材を受けたとき、会社に入って仕事を始めてからそれまでの人生を振り返って、「ああ、そうだったのか」と改めて気づいたところがありました。毎日忙しく仕事をこなしている中で、一度立ち止まって自分の来た道をじっくり振り返ることはなかなかありませんから。

この対談は、若いPMやPLの皆さんに、優れたプロマネとはどのように育ってきたのか、そのモデルを提示することが第一の狙いです。それと同時に、対談を受けてくださった方々は、管理職としてそろそろ組織全体のことを考えなければならなくなってきたお立場ですから、ここで一度これまでのお仕事を振り返っていただき、何かを感じとっていただければという気持ちがありました。おそらくゲストの皆さんにも、この対談を通してそれを感じていただけたのではないかと思います。

― 一読者としての立場からは、ゲストの方々がとても率直に、且つざっくばらんにご自分のなさってきた仕事を語っていらっしゃるのには驚きました。それに大学でのご専攻も、食品を専攻されていたり、教員養成課程にいらしたり、教員試験を受けた方もいらっしゃるし、様々ですね。

能登原
率直に語っていただけたのは、みなさんとても率直でコミュニケーション能力の高い人たちばかりだからですよ。そういう方を対談相手に選ばせていただきました。

ご経歴が様々なのは偶然で、意図したわけではないです。私は最初の対談相手となった白石さんとは長く一緒に仕事をさせていただいている関係で、ある程度のご経歴も知っていましたが、あとの皆さんは、私も初めて聞く話ばかりでしたね。まあSEやPMの仕事は専門技術の応用課程ですから、バックグラウンドがいろいろなのはそんなに驚くべきことではないですが。

― 対談してみて、一番印象的だったのはどういうことでしたか?

能登原
みなさんに「転機」についてお話いただいたことです。それが私にとっては一番印象的でしたし、勉強になりましたね。苦労したこと、うまくいかなかったことを転機に、次のステップに上っていらっしゃる。例えば白石さんなら、きついプロジェクトで散々な苦労をして「次はプロジェクト管理だ」と思うようになったというお話がありましたね。私もこのあたりの話は対談のときに初めてお聞きしました。

服部さんも、梶川さんも、工藤さんも、やはり苦しいことや失敗を、次の仕事へのバネにし、自分の行く道を主体的に決めていらっしゃる。その点に関しては全員同じでした。
私も常々言い続けていることですが、仕事をする上で一番大切なのは主体的に動くということです。主体的にやるからこそ、そこに面白みも感じられるし、自分の身について実力となるわけです。やらされているだけだったり、常に受け身だと成長しません。そのことを改めて、再確認できました。

― そうですね。それに、この対談を通して読んでみると、やはりリーダーとして優れた方々は、新しいことへの挑戦を恐れないというか、むしろ楽しんでいるような感じですね。

もちろん、それぞれのゲストにすれば、新しいチャレンジには必然性があるわけです。白石さんの「これからはオープン化に行くしかない」という決断、新しい業務システムを作るために、集中して楽しみながら業務の勉強をされる服部さんの姿勢、ITトレンドをいち早く見抜き、一番面白そうな仕事ができるところへと向かっていく梶川さんの感性、部下を育てるために「このアウトソーシングプロジェクトをやろう」と決めた工藤さんの一本筋の通った考え方。それぞれにドラマがありました。

転機における「先制攻撃」が成功につながる

能登原伸二さん

能登原
弊社のITフォーラムで「できるやつはどこが違うのか」という分析をしたところ、創造性と企画力が優れている人ではないかという結果が出ました。まさにその通りで、新しいことを企画し、それを自分の仕事としてやっていく能力がみなさん高いと感じましたね。自分から主体的に動かれている。

塩野七生さんの「ローマ人の物語」という本を読んでいるのですが、カエサルがガリア地方、現在のヨーロッパで戦うときは全部先制攻撃で勝っていくんです。最初に先制し速攻で勝ちつづけると、相手を自分のペースというかシナリオに乗せることができる。ゲストのみなさんにも、それぞれの「時」とか「チャンス」がめぐってきたとき、それを見逃さずに動いていますね。先制攻撃で自分のペースで動くのが勝利の条件だとすると、それを自然体でやられている感じです。

― でも、これを読んで「私にはちょっと、ここまでできない」(笑)と思う人もいるかもしれませんね。

能登原
もちろん、すごい人を選んでいるわけですから無理ないですよ(笑)。それに、ある程度資質の問題はあると思います。現場では優秀なエンジニアであっても、マネジメントをやるようになったら「えっ、どうしちゃったの」ということはこの業界でも多いです。小規模な組織のマネジメントができないようでは、プロジェクトマネジメントもできないわけですから、そういうコンピテンシーの部分はもともとあったのでしょう。

でも読んでいただければわかる通り、「プロマネへの道」のゲストも最初からすごかったわけではなくて、やはり仕事やプロジェクト、人との出会いを通じて成長してきたわけです。そのあたりを読み取って、読者のみなさんにとっての転機がやって来たときに「じゃあ、自分は…」と参考にしていただければと思います。そのためにも、なるべく読者の方々がヒントを得られるようにといろいろなタイプの方と対談してきましたし、これからもそうしていこうと思っています。

転機がいつ、どのような形でやってくるのかは人それぞれです。私は大きく分けて2通りあると思うんですよ。若いうちから能力が開花してどんどん新しいことをやっていく人と、企業の中で働きながらきちんと基礎を身に付けて、ある程度ものごとが見通せるようになってからチャレンジする人と。私自身は後者のタイプですね。ある程度キャリアを積んでいくと「本気で仕事ができるのはあとどのくらいだろう」と考えます。その時に安定を選ぶか、新たなチャレンジを選ぶかという転機が来たわけです。

それから、もう一つ言えるのは、ゲストのみなさんはすごく楽天的ですね。失敗してもものすごく深刻にならない。前向きです。

― それは感じますね。基本的に楽天的で前向きでないと、ハードなプロジェクトを引っ張っていけないでしょうから。それにやはりみなさん、コミュニケーション能力が高い。一つの企業にずっと籍を置いていらっしゃる方でも、現場や協力会社や、異質な文化と付き合いつつ仕事をされていますよね。梶川さんに至っては、外資系の異文化の中を泳ぎきってらっしゃいますし。これから私たちもますます、異文化を背負った人たちと組んで仕事をしていかなければならなくなっていくでしょうから、勉強になりました。

能登原
これまでに対談させていただいたゲストは、すでに経営者の視点も備えられている方が多かったですが、これからさらに出世していくでしょう。権限も増え、視野ももっと広がります。その中でまた、大きく変化し成長されていくと楽しみにしているんですよ。

― そういう方々がプロマネ時代をいかに生きたかという「中間報告」として、この対談の記録は貴重なものになるかもしれませんね。

能登原
これからの対談も、どうぞお楽しみに。

(聞き手:ザ・プロジェクトマネジャーズ編集部)

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