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2007年1月12日

塚田 雅一さん(3)
株式会社キリンビジネスシステム 経営企画部

塚田雅一さん塚田 雅一(つかだ まさかず)さん
株式会社キリンビジネスシステム
経営企画部 担当部長
キリンビール株式会社入社後、システム開発部(当時)に配属。
ビール製造計画システムの開発・運用を担当。
RADツール導入においては、開発標準化、運用ルールの整備を担当。
1998年株式会社キリンビジネスシステムに出向。
主にグループ外(外販)のシステム開発プロジェクトに従事。
2003年より経営企画部門を兼務し、プロジェクト品質向上活動、SE教育企画・実施などを担当。

システム開発と兼任で経営企画の仕事に

塚田雅一さん

能登原
それでは、塚田さんはそのプロジェクトのあとも、グループ以外のクライアントさんのシステム開発の仕事をされていたのですか。

塚田
詳細にいいますと、KBSに出向したあとは、最初にグループのプロジェクトを1件担当し、そのあとに先ほどお話したグループ外のプロジェクトを1件させていただきました。、その後キリンビールのプロジェクトを担当して、そのあとに2案件目のグループ外のプロジェクトを担当しました。
最初に担当した小売業さんの場合は、開発後の運用も含めて全部私どもに委託していただいていましたので、その後の運用、追加開発部分のマネジメントという役でずっと携わらせていただきました。
さらに2003年から、システム開発の業務以外に経営企画の仕事も兼務しました。

能登原
今も兼務でいらっしゃるのですか。

塚田
ええ。今までお話した内容は、みなシステム開発部の仕事としてやっていました。

能登原
経営企画では、どういうことをメインでやられているのでしょう。

塚田
経営企画の組織の中にPMOがありまして、その仕事と教育がメインですね。IT関係の教育の企画、実施をやっています。

能登原
PMOが作られたのは、プロジェクトを支援してほしいというニーズがあったからなのでしょうか。

塚田
そうですね。それまでは個々のPMであるとかPLの力量に依存して、プロジェクトの成功、失敗が決まっていたところがありました。会社としてしっかりとシステムの品質を保っていくためには、品質を事前確認するような組織を通していかないとまずいのではないかという話があったのです。PMOとして活動を始めたのは2004年からです。その前は品質保証会議という会議体を設けて、2002年年から始めました。それがPMOの前身になります。

能登原
塚田さんも最初からメンバーに入られていたのですか。

塚田
いえ、私は企画部門の部署に異動してから、PMOに参画しました。それまではチェックされるほうでした。(笑)

能登原
実は、私も仕事柄、「PMOってどうやればいいの」と質問されます。「こうしたほうがいいんじゃないですか」と答える立場です。塚田さんは実際にPMOの担当をされているので、ぜひお聞きしたいのですが、いま御社の中でPMOの機能として、最も大事だと思っていらっしゃるのはどういうところですか?

塚田
やはり立ち上げのときに、しっかりとした計画が立てられているかどうかが、非常に重要だと思います。そこがプロジェクトの成否を分けますから。その部分をしっかりみていくことに注力をしているところです。人数があまり多くないので、何か問題があったプロジェクトに「火消し」として、支援に入っていくことができていない状況です。ですから、とにかくその立ち上げのところでしっかりとフォローし、比較的安定したプロジェクト運営ができるかたちにしていくことが重要だと思っています。

能登原
私がよく存じて上げているお客様でも、計画のところに相当力を入れて、レビューに入られていますね。

塚田
PMには立てた計画の資料を提出してもらって、それが本当によい計画かどうか、経営トップ層も含めた会議を開いています。それが100%うまくいっているかどうかは、何とも言えませんが。

能登原
でも、やるのとやらないのでは雲泥の差ですよ。それを経営企画の中で塚田さんがやられているのですね。さらにPMO以外に、教育のところも併せておやりになっている。それはPMOの役割の一つとしてなのですか。また別ですか。

塚田
現在のところ、明確な役割の境界はありません。というのも、PMOのメンバーは教育についてもよく知っていますので、実質PMOの中で進めているということになっていますね。

能登原
ということは、計画だけではなくて、プロジェクトメンバーのレベルを、全体で上げていくという枠組みですね。

塚田
はい、そういう考え方で企画しています。

能登原
経営企画という立場になると、現場にいるときとは、だいぶ見方が変わられるでしょう。

塚田
ぜんぜん違いますね。システムを作っているときは、そのプロジェクトをいかに成功させるか、ユーザーさんのためによいものを提供できるかというところが主眼ですし、そこにいるメンバーをどう育て上げていくかという、その2つが目的だと思っています。
けれど、企画という立場になると、同じことを会社全体で考えないといけないので、たいへんです。会社全体の社員のスキルをどう上げていくのかということと、プロジェクトマネジメントという、体系立った考え方をどう根付かせて、しっかりと個々のプロジェクトに適用していってもらうかという話になりますので、視点がぐっと変わってきます。
だいたい、自分でやる話ではなく、「やってもらう」という考え方になります。そこが大きく違いますよね。自分でやるものであれば、やる気になればできますので。

能登原
「やる気になればできます」と、断言できることが素晴らしいですね。なかなかできないですよ。

塚田
失敗するかどうかは分からないですけども、やろうという気はありますから(笑)。
むしろ、やってもらうほうが難しいですよ。分かってもらえないとできないわけですし、なかなかこちらの考えているように、手を動かしてもらえないところもありますので。

能登原
お話を聞いていると、現場でDOAの設計をし、リーダーをやり、外向けのこともやられて、今度、会社の全体の運営を担当されている。塚田さん自身としては、今やっている仕事というのはどういうイメージですか。ステップ・バイ・ステップで、自分の問題意識をなぞっていけたところがあるのではないかと思うのですが。

塚田
そうですね。本当に今おっしゃったように、ステップ・バイ・ステップでどんどん上げてもらっているなという感じがします。システム開発ばかりやっていると、局所的な見方になってしまいます。そこを一歩引いたところから見て、どうするかを考えられる機会を与えられていますので、そういう意味では、非常に恵まれた仕事の仕方をさせてもらっていると思っています。

組織改編に向けて社員のITスキルアップが急務

能登原

能登原
いま現在の塚田さん自身の問題意識というのは、どういうところにあるのでしょうか。お立場からは、会社全体を考えていらっしゃるのだと思うのですけど、今ここが自分としては気になっているとか、ここをライフワークとしてやりたいなどのテーマはありますか。

塚田
ひと言で言うと教育ですね。会社として、ITを含めたスキルをどう持ち上げていくかということです。自分自身もっとスキルをつけていかなければ、という危機感もありますし、社員を見てもそう思っています。

能登原
今2007年問題とか言われていて、どこの会社でも古いシステムの運用保守をやってくれている人が引退される状況のようです。御社でも2007年問題に関して、人員の配置とか、なんらかの課題があるのでしょうか。

塚田
幸い、うちには2007年問題はないのです。最高齢の方といってもそんなに年齢が高くはなくて、システムの開発・運用に携わる社員の中ではまだ定年の話は出ていません。
それよりも課題なのは、(すでに2007年なので)今年からキリングループが、持ち株会社制に移行するということです。そうするとKBSの役割が大きく変わってきます。機能分担会社ということで、ホールディングス、つまり持ち株会社があって、その傘下にキリンビール、キリンビバレッジ、あと医薬事業会社もありますが、それを支えるシステムの機能すべてを担うことになります。求められるものがかなり大きくなってきますね。

能登原
要するに、キリンさんの子会社ではなくて、兄弟会社になるわけですね。

塚田
そうです。ホールディングスが担うべき、グループ全体のITに関わる計画部分も、KBSが全体を統制してやってほしいという考え方に変わります。今までのように、ただ開発や運用をやっていればいいというだけではなく、もう一つプラスアルファの仕事が加わってきますから、さらに上のレベルの仕事ができる人を育てる必要が出てきます。そうすると、現在のPMレベルの人材がその立場になってしまいますから、それ以外の社員でPMができる人を育てないといけません。そういうことが早急に求められているのです。

能登原
それはだいぶ経営的にも人材という意味でも、大きい変化ですね。

塚田
大きいですね。そういうところで、社員のスキルアップをどうしいくかという非常に苦しい課題があります。

能登原
これはまた、塚田さんにとっても新しいチャレンジになりますね。

塚田
そう、チャレンジです。

能登原
会社は時代に対応してどんどん変化していくので、その時代時代で、やるべき施策が違ってきます。

情報システム部門は、例えばキリンさんとかほかの協力会社にもありますから、そういうところの方もKBSさんに来られるとか、システム部門の人の配置も含めていろいろ変化がありそうですね。

塚田
そうです。「ダイナミックに変えていかなければいけない」という考え方が出てきています。まだ構想段階で言えない部分がありますけれど、大きな考え方としては、そういう方向で考えることにはなっています。

能登原
私もいろいろなお客さんとお会いしたときに感じるのですが、ユーザー部門の皆さんは、自分たちのビジネスに対してITによって貢献にするというミッションがあるわけですが、実際にシステムを作るときに、企画や計画を担当する人員が、明らかに日本全国で少なくなっていると思うのです。バブルの時代に情報システム部門の人員が減らされていって、開発そのものを担当するSIerはいるのだけど、企画をする人がいま非常に少ないという状況がありますね。

塚田
たぶん全国的にそうだと思います。日本全国のユーザー部門でみな、困っているでしょう。

能登原
SIerさんがユーザー部門の代わりに企画ができるかというと、やはりできない部分がありますので、情報子会社さんとか、システム機能会社さんが非常に大事な役割を担ってきますよね。

塚田
そうです。われわれもやはりグループの業務や現状のシステムの中身を知り、ビジネスの流れをよく知っていて、そのうえでどう新しいシステムを導入提案していくかという力が求められています。その部分の要求が一番強いと思うのです。そこを強化するのも課題ですね。そこは、ベンダーさんにもSIerさんにもできませんから。

能登原
その通りだと思います。SIerさんも「やります」とは言っていますけれど、そう簡単にはできないですよね。
情報子会社さんの目的というのは、やはり親会社さんと目標が一緒で、ビジネスに貢献するシステムを作るというところで一致しています。しかしSIerさんは、あくまでもその仕事で利益を上げることが目的なので、やはり根本的に何かが違いますよね。

塚田
まさにそうです。その狭間にあるのがわれわれの会社だと思います。かたやSIerさんは利益を追求する会社であって、それをわれわれがどううまくコントロールしてよいシステムを作っていただくかを考えつつ、ユーザーさんとは一緒にビジネスをどのように成功させていくか、効率よくしていくかということを考えなくてはならないのです。

能登原
両方を考える情報子会社さんの意味は非常に大きいですね。

塚田
大きいと思います。橋渡しはやっぱり大事だと思いますので。

経営とITの橋渡し役をめざして

塚田雅一さん

能登原
塚田さん自身は、そういう環境や課題の中で、今後何をやっていきたいと思われているのですか。

塚田
まずはさっき言いました、教育の部分をしっかりと行なっていきたいです。その先を考えると、経営とITの部分を橋渡しするようなところにかかわれたらいいですね。それこそ本当のプロだという気がします。

能登原
そうですね。

塚田
非常に難しいとは思いますけどね。今経営とITは分断されがちですから、その辺をどう橋渡しできるのか。橋渡しできるツールを提供できる人間になってみたいという気持ちはあるのですが。

能登原
確かに必要性はよく言われていますけど、具体的に「それでは、どうやるか」というと、難しい話ですよね。

塚田
今ITコーディネータがその役割を担うとなっていますので、ITコーディネータの研修も受けて、少しずつその橋渡しが実現できるような勉強はしています。というか、し始めました(笑)

能登原
ITコーディネータの資格はもう取られているんですか。

塚田
実は研修が終わったばかりで、一応取得できることになりました。試験には受かっていましたので。

能登原
それはおめでとうございます。一度、外向けの仕事を経験されて、またグループとかキリンさんの仕事に貢献できるようなかたちになりそうですね。回り回って元のところに帰って来たという感じになるかもしれません。

塚田
幸いにも、外でいろいろ覚えさせていただいて、それをグループにフィードバックしている、貢献しているという流れになっていますね。

能登原
それはいい流れですね、大枠では、最初に面接のときに、お考えになっていた通りにいっているかもしれません

塚田
結果的にはそうなっているのかもしれないですね。最初に思った、「全体を見ることができて…」という構想とちょっと違っていますけど(笑)。

能登原
ビューポイントは違うかもしれませんけど、経営も見えているわけですしね。区切りごとによい仕事ができて、うまく流れに乗れたという感じがします。

(次回に続く)

構成:萩谷美也子

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