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2008年9月19日

浜田 佳正さん(6)
東芝情報システム株式会社 第二SIソリューション事業部 技術管理部長

浜田 佳正さん浜田 佳正(はまだ よしまさ)さん
東芝情報システム株式会社
第二SIソリューション事業部
技術管理部長
1981年、青山学院大学経営学部卒業。同年4月東芝情報システム(株)に入社、分散処理コンピュータのビフォアSE、システム開発作業に従事。
1992年に、(株)東芝と協働で、C/S方式に切り替える顧客向けにDOAによる要件分析を開始。1999年よりISO9001、CMMに基づいた品質・生産性向上活動に従事。
2003年より現在まで、事業部の人材育成・技術管理を担当。

教育にもイノベーションが求められている

浜田 佳正さん

能登原
最近は、その当時とは仕事の内容も、挑戦されている部分もだいぶ違ってきているのですか。

浜田
先ほどもちょっとお話しましたが、最近は、東芝本社から関連会社、グループ全体に対して、イノベーションということを非常に強く言われています。
その中で、私の今の職責である教育と技術管理として、考えなければならないことが二つあります。一つ目のテーマは、イノベーションに際して必要な教育や技術的なものとは何かということです。例えば、現場が「今後、Oracle EBSのソリューションベンダーのナンバーワンを目指すために、EBSの技術者を増強する」ということを計画した場合に、それに対して、教育の立場としては何を提供できるかということが一つ。そしてもうひとつのテーマは、教育自体のイノベーションを考えるということです。

能登原
ああ、なるほど。

浜田
前者の場合は、「それならば一緒に教育をしてきましょう」という話をしていけばいいと思います。しかし後者の場合は、自分で「教育のイノベーションって何だろう」と考えなければいけません。こちらのほうは、難しい課題ですよね。

能登原
一つにはやはり、人材育成というもう少し大きい枠組で教育を考えなければならないと思うのですが、すでに浜田さんなりに考えて、実施されていることはありますか。

浜田
ええ、例えば先ほどのPMO(Project Management Office)がそうです。PMOの人たちはPMの経験が非常に豊かですから、そういう人たちのノウハウを、新しいPMの人たちに吸収していってもらいたいという、トップからの思いがあります。ですから、今社内で、PM教育の枠の中にメンタリングを取り込もうとしています。

能登原
メンタリングですか。

浜田
PMを育成する上で指導者が付きますが、単にプロジェクトに関してだけではなく、その人の人間形成も含めて育てていこうとしますよね。ですから、今までは、現場の上長がメンターになっていました。人間形成上はそれでいいのですが、PMのノウハウはPMOからもらうのがいいのではないかなと思って、PMOの方にPMのメンタリングの場に出ていただいて、そこでいろいろ指導いただくということを、ここ2期くらい実施しています。
PMOの方には負担が大きくて申し訳ないのですが、すごく効果が出ています。メンタリングを受けるPMの側が、育っているという気がしますね。

能登原
そうですね。日常的に孤立無援でがんばっているPMにとっては、経験が豊富な人が「いや、それはこうだよ」と言ってくれると、少しほっとするでしょう。

浜田
叱ってもらうことでも、「ああ、こっちのほうがいいんだ」と確信を持てます。PMの人は、いつも悩んでいますからね。

能登原
常に悩んでいますよ。「意志決定をしたんだけど、ほんとうにこの意志決定でよかったんだろうか」とか。特に人の問題になると、もっと大変です。

浜田
ええ、難易度が高いです。

能登原
とにかくPMは悩みが多いですからね。的確なメンタリングは、非常に役立つと思います。

浜田
そういう活動を、ここ一年行っています。

コーチング関連で興味を持っていること

浜田 佳正さん

浜田
さらに最近、個人的興味もあって、もうちょっと幅広く調べ始めました。

能登原
それはぜひ教えてください。

浜田
コーチングや、それに類するもので、エニアグラムというものがあります。

能登原
私はエニアグラムについてはよく知らないのですが。

浜田
エニアグラムは、人間の基本性格を9つに分類し、それを知ることで、思い込みや誤解による摩擦を少なくして、円滑なコミュニケーションが取れるようにし、人間関係を上手にコントロールしようというものです。また、基本性格の組み合わせによってチームが生きたり、あるいはメンタリングの関係が生きたりするので、そういった活用の仕方をすると、組織が非常に上手く回るというものです。

能登原
それはチームビルディングに使えますね。

浜田
私も最終的には、そこに使うと一番効果が出ると思っています。

能登原
私も勉強してみます。

浜田
アフガニスタンのある部族の中で、2000年の間、継承されてきた奥義らしいのですが、それがヨーロッパに伝わって今のかたちになったようです。日本でも何冊か本が出ています。
Webでも「タイプ診断 エニアグラム」と入れて検索すると、いろいろなホームページが出てきて、そこでタイプ診断ができますよ。自分のタイプが何であるかも、「このタイプはこういう性格の人なんだな」というのも、そこで分かります。
最近、コーチングとエニアグラムには、共通した発想があるような気がしていまして、そのあたりが非常に面白いと思っています。いきなりチームビルディングまでは無理だとしても、個人の成長に使えないかなと考えて勉強しています。
ですからPMのメンタリングのときも、自分の部下や回りの人にも「タイプは何?」と聞くようにしています。タイプが分からない人には、2分間でタイプ診断ができるCDがあるので「じゃあ、これでタイプ診断してみる?」(笑)といって、やってもらったりしています。

能登原
そうすると、「この人とこの人は、こういうふうに合う・合わないがあるな」ということも分かってくるのですね。

浜田
そうですね。例えば、「何でこの人は、いつもこういうことを言うんだろう」と感じて、腹が立つことがあったとします。

能登原
ええ、ありますね。

浜田
その発言のベースになっている、その人の考え方のクセのようなものが見えてくるのです。「この場で、何でこういうことを言うんだろう」と思うときがあったら、その人のタイプを見てみると「あ、そうなんだ」と理解できるようになります。そうすると、「ああ、可愛いいんじゃない」と(笑)、余裕が持てたりするので、相手のことが好きになってきます。

能登原
それはやはり、通常のコミュニケーションでは理解できない部分ですね。その人のことを理解しようとして、コミュニケーションをいかに尽くしても、分からないところがあります。それがエニアグラムで「あ、たぶんこの人は、こういうことで言っているんだ」ということが分かると、相手の行動原理が理解できるので、腹が立たなくなってくるということですね。

浜田
ええ。コーチングは分類の仕方が、エニアグラムのように九つではなくて四つですが、似たような分類をしていますよね。

能登原
なるほど。なんとなく分かります。

浜田
その「アフガニスタンの2000年の歴史」が科学的にもいろいろ調査されているらしくて、最近分かったのは、分泌物質が三つあり、その三つのバランスで、性格というかタイプが決まるのだそうです。
活動的なドーパミン系の物質がアクセルとなり、精神を落ちつかせるセロトニン系がブレーキに、ノルアドレナリン(ノルエビネフリン系)がステアリングの役割をします。この3つのどれがたくさん出ていて、どれが少ないかによって性格が決まるらしいですよ。

能登原
ということは、ある程度その人固有の気質としてあるので、なかなか変えられない部分もあるということですね。

浜田
そこでコーチングが出てきます。その神経物質の出方を、人間はコントロールできるらしいのです。それを知らず知らずに人間はやっていて、そこからはコーチングの世界になってくるのです。

能登原
気質としてはもともとあるけれども、体験や経験を積むことによってコントロールできるようになり、変えることができるということですね。

浜田
そういうことです。それを「成長する」と言うらしいのです。

能登原
なるほど、まさに「成長する」ということですね。昔は怒りっぽかったけれど、だんだん性格が丸くなったといった話はよくありますものね。

浜田
ええ、そうです。

能登原
教育の担当として、そういうことも興味を持っていらっしゃる。

浜田
ええ、これから活用できないかなということで、まだ勉強中なのですが。

能登原
そういう話も楽しいですね。

浜田
これもやっぱり奥が深いなと思いますね。

能登原
深いですね。難しいですが。

浜田
楽しいですけどね。

能登原
浜田さんは、やはり分析したり、そういうふうに考えるのが大好きなのですね。

浜田
大好きです! 一度知りたいとか、不思議だと思うと、もう駄目なんですよ(笑)。分野も決まってなくて、どこへでもいってしまう感じですね。仕事に生きないことも多いです。

原点を考え続けることで、時に応じた答えが見えてくる

浜田 佳正さん

能登原
われわれはプロジェクトマネジメントが本業なので、「プロジェクトマネジメントで一番大切なことは何ですか」ということを、いつも対談の最後に聞いているのですが、今の浜田さんのお仕事から考えると、人材育成や組織の成熟度を上げること、つまり成熟させて、生産性とか品質を高めるということがミッションだと思います。それをやるにあたって、何が一番大切だと思われますか。

浜田
難しい質問ですね。
まず、自分自身に当てはめて考えると、「その仕事って、何だろう」と考えていくのが、自分にとって一番重要な仕事かなと思います。「どうやったら上手くいくのか」と考えたら、たぶんそんなにいい答えは出てこないのではないかと思います。「その仕事って、何だろう」と考え続けていくと、毎回毎回いろいろな答えが出てくるような気がします。そこから新しい興味が出てきたら、それにまた取り組んでいけばいいのではないかと思います。
自分自身については、そういうふうに対応していけばいいと思っていますが、現状、いろいろな課題があるので、考え続ける過程で出てきたいろいろな答えを、一つずつ上手く組み合わせて解決していくのが役割ですね。先ほどイノベーションの話をしましたが、「教育のイノベーションって何だろう」というのが、今の自分にとって一つの課題かなと思います。

能登原
考え続ける過程で、答えが出てくる。

浜田
「教育のイノベーションとは」という、その答えも、難しそうで、何かすぐそこにあるような気もするのです。
例えば、5年前に、アイ・ティ・イノベーションさんに「こういう教育をやって下さい」とお願いしたことは、ある意味で、教育というか人材育成のイノベーションだったと思います。それまでは、いろいろな教育ベンダーさんや、教育機関の既存の教育の中から、「何を選択し、どうやって組み合わせてやれば人材が育成できるのか」という視点で選択していたと思います。それをがらりと変えて、自分たちで「われわれに必要な教育って何だろう」と考え、「適当なのがないみたいだ。じゃあ、その教育を作っちゃおう」と決めたというのは、やはり一つのイノベーションではないかなと思っています。

能登原
そうですね。発想がもう全く違いますよね。おっしゃるとおりです。

浜田
その流れでいくと、そういった新しい教育をどんどん作り出していくというのが、まず当面、自分にできる仕事かなと思います。

能登原
そうですね。

浜田
はい、「今期はこういうのを、やりたいな」ということも、幾つかあります。また、お願いに伺いますので。

能登原
ぜひ、ご協力をさせていただきます。もっともっとこれから深く、どんどんと協力させていただきたいと思っています(笑)。
また、われわれも面白い勉強をさせていただけそうですね。

浜田
こちらこそ、よろしくお願いします。

能登原
今回はお忙しいところ、ありがとうございました。

(終わり)

構成:萩谷美也子

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