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2009年1月 5日

鈴木 君男さん(4)
新日鉱ホールディングス株式会社 企画・管理グループ(IT担当) シニアマネージャー

鈴木 君男さん鈴木 君男(すずき きみお)さん
新日鉱ホールディングス株式会社
企画・管理グループ(IT担当)
シニアマネージャー
1982年筑波大学第3学群情報学類卒。同年、日本鉱業入社。本社及び工場にて販売管理システム、生産管理システム等の開発、保守・運用に従事。1991年米国コーネル大学にてME(Master of Engineering)を修得。1995年よりコンビニエンス・ストア本部にて流通関連システムの企画とプロジェクト管理、2002年よりセントラル・コンピュータ・サービス(株)にて新日鉱グループのシステム開発を担当。2008年より新日鉱ホールディングス(株)企画・管理グループ(IT担当)としてグループのITガバナンスの整備を推進中。

経験から考える、情報子会社の持つ限界とは

鈴木 君男さん

能登原
最近では、情報子会社を親会社の情報システム部門に戻している会社もありますね。情報システム部門の機能を一元化して、本業のビジネスに役に立つシステムを効率的に作って、運用しようということだと思います。
その点に関して、鈴木さんはどのようにお考えでしょうか。

鈴木
個人的な考えで言えば、親会社に戻したほうがよいと考えています。私自身の経験を振り返ると、「システムを使ってどういう効果を出して行くか」を親身に考えるようになるには、やはり事業に近いところにいる必要があります。離れていると、そういう思いにはなかなかならないでしょう。

能登原
なるほど。情報システム部門は「経営なり事業に貢献して、なんぼ」ということで、本当は経営に近いほうがはいいのではないかとお考えなのですね。

鈴木
ええ。そこがシステムを担当する子会社の、一番重要なところだと思います。情報子会社として、スキル向上や集約による生産性向上も重要ではあります。しかし、本体の情報システム部門に、事業とシステムの両面を考える人たちがいないとうまくいかない感じがします。
ですから、「俺はシステムの仕事がしたい」「システム屋だったけど、たまたま事業会社にシステム部があったので、そこにいるだけ」、「システムのことをやるために会社に入ったのだから、事業のことを考えて何かするなんて、やりたくない」という思いの人は本体のシステム部門には合わないと思います。

能登原
そうですね。私も若いころはエンジニア志向で、技術が好きだったので、ITの技術に特化してやろうという傾向が強かったような気がします。技術に固執していましたし、技術で生産性を上げるにはどうすべきかと、相当考えていたような気がしますね。私も今は当時とは立場も違うし、だいぶ成長しましたので、システムは経営に貢献しないと意味がないと考えるようになりましたが。
今日のお話を聞くと、鈴木さんのほうが「情報システムをいかに活用するか」という視点に、ずっと早く注目されているように思います。

本社のIT部門へと復帰

鈴木 君男さん

能登原
それから、今年の4月にまた本社に戻られたのですね。

鈴木
そうです。新規採用をしていただいて(笑)

能登原
そういう形になるのですか。

鈴木
そうです。一旦移籍したので、退職金ももらいましたよ。

能登原
本当に、新規入社なのですね(笑)。

鈴木
そうです(笑)。実際には、勤続年数等は継続してもらっています。

能登原
新日鉱ホールディングスに戻られて、しかも今度は新日鉱ITという、グループの情報システムを担う部署との兼務になっていますね。昔の情報システム部門に戻ったというのとは、また違うのでしょうか。

鈴木
そもそも、情報子会社にみんなが移籍してしまったので、事業会社の中のシステム部門として、事業とITの活用の両面から考えている人が非常に少なくなってきたという反省のもとに、新日鉱ITにかつての経験者がまた戻って来ています。ですから、この4月からの体制変更は、そういう思いも含めた、仕事のできる体制作りだと考えています。
ユーザ企業において、これから新日鉱ITがシステム機能子会社としてどれだけ成果を出してくかは、各事業会社の中でシステムを使う人、またいろいろな事業を展開していく人が「やっぱり新日鉱ITに頼んで良かった」、「システムを作って良かった」という顧客満足にあると思います。つまり、システム部門として、社内のユーザからの顧客満足がちゃんと得られることです。顧客の中には経営陣も入ってきますが、そういう人たちからしっかり信頼、評価を得られる会社に、新日鉱ITをしていきたいと思っています。現在の段階で、できている部分とできてない部分があるので、そこを早く実現できる体制にしなければと思います。

能登原
CCSにみんなが移籍して、そうすると先ほどおっしゃったように、どうしてもグループのためにというよりも、まずは利益のためになってしまった。その反省なのですね。

鈴木
はい。利益もそうですし、基本的にはシステム屋ですので、技術優先になってしまいます。

能登原
どうしてもシステム屋としての性(さが)みたいなものがありますよね。それは非常に良く分かります。

鈴木
その辺のバランスも考えていく必要があります。

能登原
新日鉱ホールディングスという会社は、グループの事業会社がジャパンエナジー、日鉱金属、パンパシフィック・カッパー等、ほかの会社に比べると、ITをサポートするにも非常に難しい形態だと思います。事業が違うから、システムも全部違うでしょう。
その難しさをどう克服していこうと思われていますか。

鈴木
それをどうすればいいのかは、これからですね。課題としてはいくつかあります。
システムの面から考えると、各事業それぞれの特性があるので、その事業会社の特徴に合わせてやっていかなければなりません。ただ、ちょうどいいことに、グループ長期ビジョンを含めて、各グループ会社の方向性は対外的にも発表しています。その中でシステムがどう活用できているのか、もう一度しっかりITの立場で考えてやっていくのが、まず一番の課題です。
同時に、グループのハードウェアやネットワークという情報基盤の観点からは、今までばらばらだった部分を集約して効果が出せている分野もあります。その分野については、まさに今、積極的に取り組んでやっているところです。
また、IT人材もIT基盤のひとつなので、しっかりシステムを活用し、戦略との間で要件を整理していく人たちを計画的に育成できる体制を、これから作っていく必要があります。ただし、人員構成でいくと、ほとんどが40歳を超えている人たちばかりで、若い人がほとんどいない。5年10年後には若い人材の採用育成も課題になってきます。

能登原
確かにIR情報も充実していて、会社やグループの目標に明確な指針があるので、情報戦略も追従しやすくはなっていると思います。

鈴木
本当は指針を作るときにITも一緒に入るのが一番いいのでしょうが、事業の特性上ITを使って事業を伸ばしていくという会社でもないので、難しいです。ITでどれだけ鉱山を掘れるかというものではないですから。

能登原
そうですね。ちょっと違いますね。

仕事で成果を出すポイントは

鈴木 君男さん

能登原
最後に、鈴木さんは複数の会社、部署で様々な立場から仕事をされて来ましたが、根っこには、情報システムの要員であるという自覚を持たれて仕事をされていたと思います。そういう中で、これからの若手の人に「今まで、仕事を通して様々な経験をしてきて、ここは大事だよ」というアドバイスをお願いします。

鈴木
コンピュータシステムは用意されているものではなく、使う側、作る側両方の立場でしっかり考えて、使って育てていくものです。ですから作る側、使う側の両方の立場で考えられるようになるのが、一番大事かと思います。

能登原
どうしても、どちらかの立場だけで主張する人が多いかもしれませんね。ベンダーだけの立場とか、発注側の立場だけとか。

鈴木
両方分かった上で、今の立場に応じた発言をすることが、一番大事です。
結局、立場、立場での発言はありますが、相手の立場も分かった上で行動してくれる人とずっと仕事してくると、10年前、20年前に一緒に仕事をした人に、今でもいろいろ相談に乗ってもらったり、逆にこちらが相談に乗ることもあります。

能登原
立場を超えて、仲間になりますよね。

鈴木
そうですね。そういうことが、非常に大事だと思いますよ。

能登原
何か、こういうスキルを身につけたほうがいいというお話はありますか。

鈴木
一般論になりますが、やはりコミュニケーション・スキルですね。

能登原
チームワークをよくするためには、コミュニケーション力が必要ですね。

鈴木
ええ。ITスキルも細分化されてきていますからね。

能登原
そうですね。ITスキルも細分化、専門化されて、システム・エンジニアも個別の技術は良く知っているが、総合力は疑問符がつく人も増えていますね。
また、仕事をうまく進めて、成果を出すためにはどういうことが大事だと思われますか。

鈴木
なかなかできないことではあるとは思いますが、成果を出すには、プロジェクトの立ち上げと同じように、計画を作ってしっかりフォローをしていくことですね。システム開発に限らず、あらゆる仕事では、計画と進捗管理が大切です。それから、やはり相手のある仕事ですから、約束をしたことに対してタイムリーに応えることです。
コンビニ店舗開発を担当したときに、それが当たり前に実行されていることが少ないということも経験しました。いろいろな会社がある中では、当社の常識が必ずしも通じないことがあります。
それは理解したうえで、計画、進捗管理、約束に応えることを心がけていくことではないかと思います。

能登原
なるほど。 本日は、長いお時間お話いただいて、ありがとうございました。

(終わり)

※2008年10月に行われた対談を4回に分けて記載しました

構成:萩谷美也子

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