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HOME > プロマネへの道 > 金子 高志さん(4) インフォコム株式会社

2009年7月 3日

人づくりとしてやっていること

金子
その人の役割が決まっているので、きっちり動機付けを含めて指導することが、上司の責任です。それに合わせて、人事の仕組みとしてキャリアプランを作って、研修情報を社内で告知したりしますけど、そういうことは、普通にどこでもやっていることであり、それは、会社の組織にとって都合のよい教育プランです。本人にとってどこまでためになっているかは甚だ疑問なのですね。
このような問題を社内で議論したところ、ある上司は、本人の好き勝手なことを聞いてしまうと、極端な話、会社にとって意味のない人が出来るのではないかという意見がありました。一方で、個性をつぶしてしまうことは、本当にいいのかという意見もありました。その辺の合意が社内でとれていないといけないので、周りと話をよくするようにしています。
当初の教育では、現場で実践的に役立てるために、プロジェクトマネジメントのお作法的なところ、考え方を身に付けることを目的としました。そこで、御社の研修を利用させていただきました。後は、せっかくなので資格もつけてということもやってきました。それと同時に課題としてあったのが、個人に対しては、マインドの問題がありました。つまり、向上心をもつということですね。このマインドは、すぐには変わりませんね。
当社は、年度の初めに目標設定を作らせて、それを上司がレビューします。どこの会社も同じかもしれませんが、目標設定は会社、組織からのミッション、与えられている売上・利益、役割、目標とする資格取得など当たり前のことを書きます。これはいい仕組みだと思って、これを使わない手はないと思い、きっちりと取り組みました。本人たちに自分の将来をどのように描いているか、10年先はどうなっているか、10年先がわからなかったら5年先、3年先でいいから、自分はどんな人になっているか、イメージしているかを考えるように指導しました。
最初の一年は、私が各自に適した将来イメージを作り、一年間考えるように指示しました。そうすると、2年目からは、各自意見を言うようになってくるんですよね。例えば、だれだれさんのようになりたいとかですね。これは、わかりやすくていいですね。では、そこに向かうためには、どうしたらよいかアクションプランが必要だよねということを部下に言います。そこがゴールだとした場合、そこに向かって今年はどうする、来年はどうするといったことを落とし込むと、より具体的なアクションプランになりますね。同時に、そのアクションプランを仕事に結び付けてあげる必要があると思います。つまり、個人の問題にしてしまうと単に学校になってしまうので、会社にとってプラスになる、つまり、本人の業績考課に加点される目標にアレンジする必要があります。

能登原
金子さんのようになりたいという人もいるのでしょうね。この間、NHKの「プロフェッショナル」という番組の総集編を放映していました。その中で、「自分が目標にしていた人に近づきたいとずっと努力してきて、気がついたら自分も他から目標の対象となっていた。」と、ほとんどのプロフェッショナルの人たちが、言っていましたね。

金子
具体的に目標となるイメージがそこにあると、わかりやすいですしね。それに近づけるためには、どうしたらいいかというのを毎年毎年自分のチェックポイントというかマイルストーンを作っていけばいいと思います。

事業を運営していくためには

能登原
テレコム事業部を作ってから、今まで売上の規模は随分増えてますね。大体規模的には、どのくらいになっているのですか。

金子
正確な数字は忘れましたが、おそらく最初は数億規模で、現在は、その3、4倍ぐらいになりました。

能登原
本日、お会いしたときに以前からお聞きしようと思っていたのですが、ひとつのプロジェクトを成功させるのも大事ですが、事業を継続的に大きくしていくことは、非常に難しくチャレンジな目標だと思います。プロジェクトを成功させて、お客様の信頼を得た後で、リピートの仕事をどんどん取って事業規模を大きくしていくと、組織のある部分が手薄になったり社内の要員が足りなくて、外部のパートナーに頼らなければならなくなったりというような様々なジレンマを抱えることになります。その辺は事業の責任者として、どのように考えてやられていますか。

金子 高志さん

金子
事業の方向性は、ぶれないようにしています。私は、今、副部長でして、私の上には部長がいてもうひとり副部長がいますが、このメンバーは部を作ったときに一緒にやってきたメンバーということもあって、事業の方向付けを一緒にやってきました。最近は、身の丈というか無理をしないように、自分たちにあった仕事の回し方をするように心がけています。特にSIという事業は、お客様あってのものなので、継続的な取引をしていただけるお客様をどのようにふやしていくのかが重要です。お客様の立場になって考えるスタンスをくずさないようにしています。後は、やみくもに組織を大きくしないことです。事業が大きくなると社員を増やそうとしますが、仕事がしぼんだりした場合、その人があぶれてしまうので、むやみに人を増やさないというのがあります。

能登原
要するに得意分野をある程度決めておいて、それ以外の仕事が来たときは、あまり無理してとらないようにするということですね。

金子
自分たちが得意とするものであり、応用が効く範囲であればやってもいいと思いますが、全く毛色の違うものは、リスクが大きすぎます。そうは言っても、今後そこに方向転換してやっていこうという大きな流れがあれば別ですけども、そうでもない限り、少しずつ変化していけばいいと思います。前職のときがそうであったように、経済活動において、金融が非常に伸びていた時期もあれば、ITが伸びていた時期もあります。そういうのに乗っかるのも大事ですが、そればっかりやっているといい時はいいですが、悪くなった時はみんな悪くなってしまいますよね。

能登原
なるほど、そこでも以前の失敗した経験を生かしているのですね。

金子
しかし、現場の人たちは、同じことばかりやると飽きるので、新しいことをチャレンジしないと人が伸びなくなってしまい、組織が硬直化してしまいますので変化をつけていく必要があります。でも、ドラスティックに構造を変えてしまうと、一発の賭けになるのでリスクがあると思います。現在の厳しい状況では、特にそうですね。だから、現在は、はやりがこうだからそこに向かえというのはあまりなくて、自分たちの進むべき道をみんなで定めています。3年前ぐらいから部の中で毎年、課長職以上でいっしょにアクションプランを決めるのですが、その時に5年後の自分たちの姿を共有して、SWOTなどの各種分析をして自分たちの進むべき道を意識共有しています。

能登原
毎年、課長職以上のアクションプラン立案をやられるのですか。それは、何月ぐらいから着手されますか。

金子
例年、1月ぐらいから着手し、それと並行して予算も立てます。そういうのをやってかないと部内がばらばらになってしまうと思います。そこは、うちの部長が上手いところだと思います。単に上から落としこむのではなくて、課長以上が一緒になって考え、意識の共有を図るということです。

能登原
会社全体でやっているわけですか。

金子
他の部門はわかりませんが、私の上司である部長が自発的にやりはじめたことです。

PMOとしてのポイント

能登原
金子さんは、ものづくりの責任者になっていると思います。プロジェクトがいくつか動いたときに、それを監視、コントロールする責任が金子さんにはあると思いますが、どのようにやられていますか。

金子
2006年にPMOを部の中で立ち上げましたが、ラインとしてあるわけではなく、専任の私と、SE方のマネージャが兼務してやっています。その中で教育とか仕組みづくりをやっています。それに則してプロジェクトが動いている状況なので、コントロールはされています。また、ある程度の標準化は出来ていて、各プロジェクトでそんなに大きくは、ずれていません。その辺のお作法は、御社に教育していただきましたし、我々のリーダクラスは、ほぼ全員PMPを取得して、知識はついてきています。私のほうで全体的にとりまとめたのが一昨年でしたが、それを昨年度定着化のために展開をして、今年度はそれをよりブラッシュアップさせました。
これらをやると変わりますよね。個人の技量、資格、知識をつけて、また仕組みとしてPMOを作っていったことで、質があがりました。私自身、PMOとして何をやったかというと、御社の研修でもあるように、リスクを洗い出して、いかに計画をしっかりと作るかでした。計画が出来れば、それに乗って回せばいいわけです。フェーズごとにレビューするというやり方もありますが、それをやっていたらきりがなく、また、いくつものプロジェクトが並行して稼動しているので、ひとつひとつチェックポイントを設けて細かく見ていったら、現場もたまったもんではないし、レビュアーも何人も必要となり、大変ですよね。現実的に出来るところを絞ってやりました。
一番効果があるのは、計画フェーズをきちっとやるということです。つまり、計画段階でリスクが洗い出されるので、コントロールポイントがわかってきます。そうすると楽になってきます。

能登原
問題が急に発覚して、さあ、どうしようというのではなくて、ちゃんとコントロールできますよね。

金子
計画段階で私も一緒に入りますので、走っているプロジェクトが何をやっているかがわかるようになります。そうなると、日々どこまでいっているか追い切れなくても、問題があがってきたときに全体がわかっているので、どこまでいっているというのがわかるようになります。すると課題を吸い上げて必要な手当てが出来ます。非常に効率的な仕組みが出来たと思います。おかげさまで大規模トラブルがなくなりました。

能登原
私もエンジニアだったときには、プロジェクトに問題が起こると、どうしても、自分が出来る範囲でしか解決策をだせませんでした。しかし、色々と知識をつけることにより、自分の枠の中だけではなく、上司にエスカレーションするとか、お客様を巻き込んで問題解決するとか、問題解決のための考え方の枠が広がっていきました。金子さんの部のメンバーにも、考え方の変化のようなものはありますか。

(次回に続く)

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