2010年2月 1日
森川 富昭さん
徳島大学医学部・歯学部附属病院 病院情報センター
センター部長 病院教授
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森川 富昭さん(もりかわ とみあき)さん
徳島大学医学部・歯学部附属病院 - 病院情報センター
センター部長 病院教授 - マサチューセッツ工科大学とハーバード大学でMOT(技術経営)を受講し、神戸大学でMBA(経営学修士)を取得。2009年、徳島大学病院 病院教授。
- 現在、病院情報センター部長として大学病院のIT化を担当。 電子カルテの構築や医療経営に携わる。専門は医療情報学と医療経営学。40歳。徳島 市在住。
後進の育成・・・アントレプレナーシップ
能登原
先生は、部下が何人もいらっしゃると思いますが、おそらく森川先生はいつまでも徳島大学にいらっしゃるとは思えません。そうなると、ポスト森川先生を作らないとならないと思います。そうした場合、先生は、後進の育成をどのようにお考えですか。
森川
現在、後進の育成をやっていますけど、先ほど申しましたように結局は無理だと思います。アントレプレナーシップの気持ちがある人間であれば、該当する専門性がなくても教えたら出来ると思います。ただ、「おりこうちゃん」がいっぱいいるんです。だけどそんな人では、無理です。だから、私がいなくなったときは、組織として今のやり方の方法論だけは、残るんです。おそらく、ヘルプデスクを作ってちゃんと審議してやっていくとか、情報交換をしっかりと行うと思いますが、そこに気持ちがあるかどうかなんです。本当に良くしたいという気持ちがあるかが難しいです。そういった育成は、私にはできないです。それをやろうとしてずっと私の部下にも言い続けてきましたが、最近まあ「おりこうちゃん」でいいかなと思っています。一般企業だったらいっぱい人を入れてふるいにかけることもできます。GEでは、なんらかのチームを作るときは、一人はヘッドハンティングしてでも他から絶対とってくるそうです。内部から出てきた人間と他から来た人間でひとつのものを構成していくそうですが、大学ではそんなことができないです。大学は、そこまで人材がこなくて非常に難しいです。ただ、自分がどっかにいけるポストがあれば、本当にやりたい人に私のポストを明け渡しても自分はかまわないといつも思っています。ただ、今の大学病院に私がいるのは、うちの病院長が上にあがる可能性が高くて、研究者支援の仕組みを病院長と一緒に作りたいと思っているからです。病院のESを上げるための研究者の支援をしたら、強い病院ができる、強い病院ができたら強い大学ができるといった使命感だけなんです。ですから、最後はやる気とも思っています。
能登原
先生をそこまで突き動かすのは、使命感とおっしゃいましたがそれだけなんですか。
森川
よくわかりませんが、情熱だと思っています。絶対、やり遂げたいとか絶対、よくしたいという何かわからない気持ちですね。私は、事務部長であれ、誰であれ大体喧嘩するんですよ。「お前は、あほやろう」とか「病院の幹部はなってない」とか「なんのためのフレームワークなんだ」、「経営戦略を出せ」、とか暴言を吐きますが次の日は、「すいませんでした。でも、やりたいんです。結果出すからやらしてください。」と言いに行きます。でもなにゆえに私は、そこまで固執して物事をやっているのでしょうか。
能登原
毎日、そういうことをやることは、楽しいからですか。
森川
楽しいですね やはり、物事を動かして最後に喜ばれる自分が好きなんですよ。簡単ですけど、ほめられるとあがっていくタイプなんです。当初、絶対、電子カルテは導入出来るとは、思っていなかったので、「森川君あのシステムが入って本当に良かったよ」と一言ドクターが言ってくれたときは、嬉しかったです。
能登原
この間、写真で徳島大学の電子カルテを拝見しましたが、あの様に便利だったらいいですよね。
森川
紙に書くより、よっぽどきれいに書けますから便利です。大学の先生は、外の病院にもバイトにいっているのでその差をすごく感じるわけです。大学の電子カルテとあそこの病院の電子カルテは、違うとか。また、よく話しを聞いてくれるとも言われます。やはり、その辺のコミュニケーションも重要だと思います。ただ、私を突き動かすものは私自身わかりません。適当にやれば適当にできるのですが、私は、いつも不安なんです。今の状態では、満足しないし、また人を喜ばしたいという気持ちも非常に強い。朝、大体5時に起きますが5時から7時ぐらいまでは、あれどうなっているのかとか、これはいけているのかとか、彼はやってくれているのかなとか、いちいち電話したりしています。
能登原
社会人になってから、そのような行動になったんですか?
森川
昔からです。人より秀でたいというのは、昔はもっと強かったです。人より儲けて当たり前とか、人より出来るとか、数学は負けないとか、そのようなプライドはずっとありました。周りの友達には、医者が多いですから、なんとなく負けているような気がしています。ですから、彼らに勝つにはどうしたらいいのだろうかとかいつも思っています。
企業に勤めていた頃
能登原
ところで、先生は、民間企業にも勤めていましたが、情報システム部門にいたのですか。
森川
営業企画にいました。私がITをやっていたので何か提案して欲しいと言われまして、見積システムを提案しました。それは、PDAみたいなものでピピットやれば、ぱっと計算できるものです。今までは、それが出来ないのが私にはわかりませんでした。その後、自動車販売などに同様の見積システムが動くような時代になってきました。そこの営業企画では、企画をたくさん書きました。また、すごく部長などにもかわいがられまして、「やめるな」、「なんで大学いくんだ」、「その分会社から出してやる」、「学位取りたいのか」、「博士号がいるのか」とか言ってくれました。ただ、失敗したと思ったのは、大学は給料が無茶苦茶安かったことです。私は、それまで大学の先生ってすごい給料が高いと思っていました。
能登原
森川先生は、民間企業の営業企画部門にずっといらっしゃったのですね。
森川
はい。ただ、ずっと勤めるつもりは、ありませんでした。私は、それまで徳島に住んでいましたから大阪で満員電車に乗ることが悲しかったです。部長さんもみんな満員電車に乗るわけですよ。なんでこんなに給料もらっている人が大変な思いをして、会社に行かなくてはならないのかと思いました。偉くなったら、車で行って、秘書とかが付いてというイメージが強かったです。だから私は、このままではいけないと思いながら、会社に行きながら司法書士の勉強をしていました。田舎に帰って、一番儲かるのは、なんだろうと考えると、司法書士は、銀行とくっついているので儲かるという話を聞いて必死になって司法書士の勉強を始めました。そして、しばらくすると大学の人間として呼んでくれるというので行きました。それがよかったかどうか全くわかりません。
能登原
先生は、ITの専門家というか完全にユーザ目線ですね。
CSとESは、重要
森川
はい。すべてそうですね。本当は、CSをあげたいのですがCSをあげるまでには、至らなくてESをあげないとCSがあがらないと思っています。だから組織が大事だと思っています。
能登原
そうですね。ESをあげないと中々病院のようなところは上手くいかないのでしょうね。ある意味、心に余裕がないとダメだと思います。
森川
ホームページを一つ作る場合でも、あなたが経営者の立場で作っていると考えろと部下にはいつも言っています。見る人はユーザが見るわけですからその良し悪しの評価は、非常に厳しくなります。しかし、それがわからない人がいっぱいいます。
能登原
それは、視点が元々違うし目的志向ではないですね。森川先生は、こういう目的のものを作りたいというのがありますが、そうでない人は、単に作業なんでしょうね。
森川
そうですね。ただ、それだと発展性はないのですが皆業務が多いのでそれに気付かないのです。私は、それが一番嫌いなのです。
能登原
大学が一番独創的でないとだめですよね。
森川
だから私は、考える力をどのようにして養うかを人材教育で教えないといけないといつも言っています。最近よくやっているのは、色んな会社にうちの助手とかをとにかく行かすようにしています。なぜなら、私が同じ言葉を言うよりか、他の人から言ってもらったほうがその人が変わるんですね。例えば、システムを共同研究でやっている企業に朝の7時30分に行かして、進捗管理を一時間やってくるとかをやらせています。そうなると企業がやらなければいけない目標と大学のいい加減さがわかってくるし、服装もましになってきます。大学にずっといると汚くなるんですよ。企業に行くとみんなきれいにしないと怒られるのでシャツを新しいのに替えたりとか、ピシッとなってきます。ただ、大学でそういうことを教えるのは、難しいですね。
(次回に続く)
