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2010年2月15日

森川 富昭さん
徳島大学医学部・歯学部附属病院 病院情報センター
センター部長 病院教授

森川 富昭さん森川 富昭さん(もりかわ とみあき)さん
徳島大学医学部・歯学部附属病院
病院情報センター
センター部長 病院教授
マサチューセッツ工科大学とハーバード大学でMOT(技術経営)を受講し、神戸大学でMBA(経営学修士)を取得。2009年、徳島大学病院 病院教授。
現在、病院情報センター部長として大学病院のIT化を担当。 電子カルテの構築や医療経営に携わる。専門は医療情報学と医療経営学。40歳。徳島 市在住。

意思決定がポイント!

能登原
先生は、実績を積み成功を重ねてきましたので失敗とかあるんでしょうか。

森川
大きな失敗はないですが失敗ばかりですよ。ずるい人間なんです。成功するように持って行きますから。それと大きな予算は入れません。小さく行って、成功事例を作っていけると踏んだ時点で予算をかけます。

能登原
ダメなときは、どうされるのですか。

森川
すぐにやめます。「すいません。間違えでした。」と言って引っ込めます。その辺は、あまりこだわらないです。 

能登原
潔いですね。

森川
はい。私は、完全に潔いですね。 

能登原
でも、ある意味ちゃんとプロジェクトマネジメントができてますね。

森川 富昭さん、能登原

森川
そうですか。企画段階で色んな知恵を入れてきて、今までの知恵にこだわったらいけないと思います。ちゃんと見て、評価してやめるものはやめる、入れるものは入れる。 

能登原
そこの意思決定は、ある程度スピードがないとずるずると時間ばかり過ぎますし、お金も無駄にしますしね。

森川
私は、色々とやっているので各プロジェクトについて、なんとなく見えているところもあるので意思決定は、無茶苦茶早いですよ。出張がすごく多いので徳島に帰ってもずっと会議です。そこでは、全ての事項について決めます。気持ちいいぐらい早いと思います。これは、いつか成功するに違いないから予算投与すればもっといけるんではないかという意見については止めます。先ほども言いましたように私は、あまり予算はもらいません。皆、企画レベルで1億、2億の絵を描きますが百万円単位でまず作ってみて、成功する可能性が出てきたら1億かけてもいいと言っています。1億数千万円もするシステム関係は、事務方は、反対ですよね。医者は大賛成しますがそのかわり絶対使うことを医者に約束させます。

能登原
投資対効果がでないと厳しいですよね。

森川
すべてのシステムに私は、投資対効果を計算します。それは、絶対計算出来ます。なぜなら、システムを入れる前と入れた後で人の割合、売上の割合は完全にイコールではく、変化しますから最低限そこは、押さえます。だから、うちのトップにも言います。これを入れることによって、環境は、このようにこう変るので絶対に価値が出るので、だからやりましょうと。もしくは、売上に変化はないかもしれませんがこのようなところで効率化ができますと言います。これは、厳しいぐらいに評価をします。それがない企画は、全部却下します。よくわからないけどやってみたいとか、世間がそうやっているからやりましょうというのはうちのプロジェクトではありません。私の部下には、企画を100本出してきなさい、1本でもあたったら最高だと言っています。また、100本企画を出せるように勉強しなさい、本を読みなさい、色んな人と出会いなさい、そして様々なケースを知って病院にどう使えるかを考えなさいと言っています。新しいことをイメージできるような能力はあなた方にはないとも言っています。だから、まねろと。例えば、トヨタがやっていることを見てきてうちに出来るかを考えろ。まねてみてそれが医療の何かができたらそれは、新しい発見だ。現場が良くなったと言われればその仕組みは売れるという発想です。私は、変りものなんです。

PMBOKを病院に!

能登原
研究会で私が森川先生とお会いして、プロジェクトマネジメントで少し役立つとか影響されたことはありましたか。

森川
この間もある先生に呼ばれて、大学で講演させてもらいましたが医療の世界では、やはり管理の仕組みと評価の指標が出来ていないのが事実です。それをうまいことできないかなと思っています。評価の仕組みをどうにか作り、PMBOKの仕組みを現場の力と一緒になって、病院用に置き換えて作れないかと思っています。たまたま私たちは、えいやで成功しているところがちょっとあるだけでそれは、情熱だけなんですよね。しかし、先ほど言われたように森川がいなかったらつぶれちゃうんですよ。そうではなくて、フレームワーク化して拡げられる仕組みをつくりたいです。

能登原
それは、おもしろいですね。

森川
私たちは、ノウハウがあるのでこれらをちゃんとマニュアル化してなんらかの形にしたいと思っています。また、外資系のコンサルティング会社は、海外の事例をたくさんもっていて、またいいモデルも知っているのでその辺も一緒に調べて、研究者支援をしようとも考えています。ただ、今大学全体を良くしていこうという使命感が強くなってきています。大学の資産は、研究です。研究資金をいかに取ってくるかは学生ではないんです。研究者の視点は、自分がいかにいい研究したいかということですから、強い大学を作るのであれば研究の成果をもとに外部資金、国の資金をとってきてそれを産業に還元できるかが重要です。それから、私はコミュニケーションとかをマネジメントの中に体系化したいのですがリーダシップ、コミュニケーションとかは、体系化しづらいんです。最後は、心理学的な意味合いになるんですね。 

能登原
コミュニケーションは、最終的に人の話になってしまうので 人の個性とか資質に依存してしまいますね。

森川
そうなると難しいですね。私は、マニュアルとかフレームワークのように担当者が変ってもある程度維持が出来るようなものが欲しいです。

能登原
100点でなくても80点でもいいですね。

森川
マニュアル作りというのが今、公的機関には不足しているのは事実なんです。きっちり難しく書きすぎるとだれもできないので、できるだけわかりやすいフレームワークにする必要があります。学問じゃなくて、実在主義の中でフレームワークを作りたいです。PMBOKを応用して出来ませんか、能登原さん。

能登原
貢献したいですね。私たちもITの世界だとある程度貢献できる部分はあるのでおそらく医療でもチーム医療のようなものに多少は貢献できるかなと思っています。その辺でなんか上手い具合にフレームワークができると本当にいいと思いますね。 

森川
ヘルプデスクには、いっぱいニーズが溜まっています。ヘルプデスクにきた案件は、システム連絡票という形におとすとメーカーにいきます。システムというのは5年、6年の契約で更新しますから、その更新時にまた一から仕様書を書かないといけない。一方で、ヘルプデスクにきた案件のナレッジのデータベースを元にもっと簡単に仕様書に落とすことができないのか。そういう仕組みがあったら、多分どこの大学でも助かります。今は、メーカーさんが仕様書を書いてもってきている。せっかく溜まったナレッジが生かされてない。もし、それをしっかり評価する仕組みがあったらいいですね。そういうこと研究費を投じて企業と一緒にやったらみんなハッピーになりますよ。やはり、私は売るという視点で見てしまいます。うちは完全にオープンなのでその成果物の著作権とかいいませんのでそれは、皆さん方が売っていただくとかすれば病院コンサルも出来るでしょう。

能登原
そうですね。森川先生と話しているとなんかわくわく楽しくなりますね。 

森川
はい。よく元気になると言われます。出来る可能性を見出してくれるとも言われます。そういうので私は、徳島大学で経営塾をやらせてもらっています。昔がんばってきた人たちと一緒に知恵を出し合いながら、病院のためにならないか考えています。

 

能登原
知恵を仲介できる人ってなかなか少ないと思います。色んなことに興味をもってないとわからないし、また足を運ばないとわかりません。

森川 富昭さん、能登原

森川
色んな業界を知らないとできません。今、デジタルサイネージを徳島で有名な饅頭屋に使おうとしています。今まで店を出していないので、投資額を安くして売れればハッピーです。実験的に最初は、30万円ぐらいからやっています。店舗だったら30万円では、出来ない。そういうのを企画すると先方は、非常にハッピーになります。最初は、私はとにかく少ない金額で損のないお金で全部やって、いけるとなったら賭けます。最初、少額で始めると情熱で上手く出来るところもあるし、問題点も見つかってきます。最初から100万というオーダーは絶対しません。あまり企業さんからすればおもしろくないかもしれませんね。

能登原
企業側もそう思っているじゃないですかね。企業側からすれば森川先生なら、なんか面白いものが出来るという期待が大きいのではないですか。

森川
本当にありがたいのは、大学には1日10社以上きます。「これどうしましょう」「どうします?」「先生なんかできません」とか言ってきます。私は、色んな人と話をして、考えて提案します。本当に人が来てくれるようになりました。それが一番ありがたいです。人が来てくれることは、知恵が出る可能性が大きいということです。また、悪い人が来ないんですよ。お金もあまりがないので来てもしょうがないんですけど。

能登原
やはり、先生のところに訪問する人は、触発されるためにくるのではないでしょうか。私もこの長時間の先生との対談で色々と元気をもらい、触発されました。もっと、先生のお話をお伺いしたいところですがこの辺で先生との対談を終わりにしたいと思います。本日は、誠にありがとうございました。

森川
こちらこそ、ありがとうございました。

(おわり)

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