プロマネの勘所
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2006年9月 8日
【4回集中連載 IT教育の勘所】第4回 プロマネ育成のポイントや育成すべき人材
数々のプロジェクトを成功に導き、企業を支えているのが、優秀なプロジェクトマネージャたちだ。ところが、デキるプロマネになる、あるいはデキるプロマネを育成するのは、予想以上に難しい。では、その問題点・課題は、いったいどんなところにあるのだろうか? 業界を知り尽くしたIT講師、森徹夫氏が、「IT教育の勘所」を語る。最終回に当たる今回は、プロマネ育成のポイントや育成すべき人材をレクチャー。
森 徹夫氏プロフィール
森コンサルティングオフィス 代表/Modusアカデミー講師
独立系のシステム・インテグレータ、株式会社シーエーシー(CAC)にて、ロジスティックス分野を主に数多くのプロジェクトに参画し、SE、コンサルタント、プロマネとして活躍。その後、同社のヨーロッパ現地法人社長、ERPソリューション事業部長、SI企画本部長(執行役員)として事業の新規立ち上げ、ビジネス戦略立案、PMO組織の確立などに従事。
2004年に独立し、森コンサルティングオフィスを設立。現在、中堅・中小企業での効果的な情報システム活用を推進するITコーディネータ活動(経営とITのブリッジ役)およびプロジェクトマネジメント指導業務を展開中。
保有資格:技術士(情報工学部門)、ITコーディネータ
受講生の意識を変えることからスタートしよう!
受講生はおおよそ2種類のタイプに分かれます。ひとつは「前向きで、研修に意欲的なタイプ」、もうひとつは「上司指示でやむを得ず来たという批判的なタイプ」(残念ながらSE育ちには比較的このタイプの人が多いように思います)。当然 前者の人のほうが多くのことを吸収し、しっかりとした成果を見せてくれますね。
では後者の批判的なタイプは、研修を受けても成果が上がらず、満足感が低いままなのでしょうか? 答えはNOです。最初は、お手並み拝見モードですが、彼らの意識を変え、意欲的なタイプへと変貌させることができれば、もともと力量のある人が多いだけに、彼らも見事な成果を出し始めます。
そのためには私たち講師側が、何よりも「価値のあること」を教えなければなりません。単なる理論やあるべき論ではなく、現場の実態を踏まえた、実践的で応用性のあることを伝えていく。批判的なタイプの人が、これは実際に現場を経験した者にしかわからない本当のノウハウだ、聞く価値がある・・・と早い段階で思えば、あとは大丈夫です。受講生が「これは思い当たる。指摘されたことを現プロジェクトに早く生かしたい」と研修中からムズムズするような内容にしたいと、私はいつも思っています。
また、わかりやすい言葉で具体例を挙げながら説明し、参加しやすい雰囲気をつくることも大切だと考えています。受講生に近い目線で、一丸となってスキルアップを目指していく。プロマネは「人間力」に負う部分が大きいということを前回でもお話しましたが、まさに研修もプロジェクトチームです。講師の側が、これだけは伝えたい・・との強い熱意をもち、受講生とのコミュニケーションを深める。モチベーションを上げ、ざっくばらんに話せる関係づくり……。こうした努力によって「この研修はなかなか面白く、雰囲気もいいじゃないか」と思ってもらえれば、満足感が急速に高まりますね。
受講生を送り出す企業側が意識しなければならないこととは?
研修を成功させるポイントのひとつは、受講生のレベルを合わせることです。ベテランのプロマネと、まだ数ヶ月の経験しかないプロマネが同じ内容の研修を受けて同様に満足できるということは、ほぼあり得ないと言っていいでしょう。このようなレベルの混在では、討議形式の研修時にお互いが話しにくく活性化は期待できませんから、同じ程度の実力・経験を持った人を集め、チーム編成することをおすすめします。
もうひとつのポイントは、会社のプロジェクト現状・特徴や受講生の成熟度などを、事前に講師側へ伝えることです。これらの事前情報を踏まえて、講師側はより効果的にメッセージが伝わるように説明の仕方や話すときの用語、たとえば開発工程の名称などを変えていきます。もちろん、私達からもヒヤリングをしますが、会社・受講生の実態を正直にお話して頂くことは重要ですね。
本物のプロマネが、次の人材を育てる!
さて最後に、企業が育てなければいけない本物のプロマネについてお話をしておきましょう。「プロのプロマネとは?」と聞かれれば、「難易度の高いプロジェクトでも、この人についていけば大丈夫・・とステークホルダー全員に安心感を与える人。そして必ず成功へ導く人」と答えるでしょう。このような人が担当するプロジェクトは、メンバーにとって厳しいのですが、不思議なことにチームは活性化しており、明るく笑い声が絶えないですね。
このようなプロは、言うまでもなくビジネスマインドが高く、顧客(ユーザー)視点もしっかりと持っています。究極の人材ですが、育成の目標はやはり、このレベルの増強です。「たまたま、あの人が担当したからうまくいった」ではなく、企業は継続してプロジェクトを成功させなければなりません。 そのためには、次の担い手を途切れることなく育成することが大事です。
素質ある人は、できるプロマネの背中を見て急速に成長します。プロマネは大変な仕事ですが、達成感も大きい。そのことを実感できる次の人材を、研修と実務でのOJTをうまく併用して着実に育てていきたいものです。
以上
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