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2007年8月30日

【特別対談】第二回 中電シーティーアイの人材育成

人材育成の基本方針


それでは、今回のテーマである人材育成について伺いたいと思います。 中電シーティーアイ殿には、従業員の方は1000名くらいいらっしゃるとお聞きしています。

八木
ええ、約900名です。


900名、まあ、1000名弱ですね。中部では有数の規模で運営されていると思いますが、人材育成について、特に工夫をされていることはおありでしょうか。私は日ごろから「企業は人が命」と考えておりまして、そのあたりをぜひお聞きしたかったのです。

八木
私どもの会社の人材育成は、簡単に言いますと3つの基本方針を挙げています。第一番には、何よりも「良い社会人になろう」ということですね。二番目に「自分の頭で考えて行動できる自立型人材になろう」ということ。三番目に「市場やお客様に評価されるようなIT力を付けよう」です。 私は社員にもよく言うのですけど、まず「私どもの会社が売る商品は何だろう?」と考えてみるのです。トヨタさんなら自動車、電機メーカーならば家庭電機器具等々、商品にはいろいろありますけど、結局のところ、私どもが売る商品というのは、品質まで含めた広い意味での技術サービスです。となると、まさに人材で勝負するしかないわけです。先発のメーカーさんに比べると遅れているとは思いますけれど、人材の教育には非常に力を入れているつもりです。


例えば、御社が社内的にお持ちの人事制度とか、特別な育成上の特徴等がございますか。

八木
そうですね。まず新入社員から鍛えていかなければいけない、というのが私の主義です。私が来るまでは、2つのIT子会社で、それぞれ新入社員の研修というのは、1週間から10日くらいだったのですが、私が来てから、それをだんだん長くしてもらいました。今では新入社員教育は、入社後3ヶ月ということにしています。 最初の1ヶ月は、徹底して社会人としての基礎やマナー、あるいはソフト開発の基本を勉強してもらう。入社してくる人が情報工学専攻の人とそれ以外の人といますので、少しコースを分けたりしますけど、徹底して基礎を勉強してもらう。基礎が分かったら、あとの2ヶ月は、自部門に戻って研修してもらいます。 それから、この世界は仕事が専門化していきます。自分の部門のことは知っているけれど、他部門のことは同じ会社でもよく分からないという人も往々にして見かけたものですから、他部門の研修も受けるようにしているのが特徴かもしれません。そのほかに、電力関係の仕事も多いので、浜岡の原子力発電所を見学にいったりもします。それから、これは私の発案で去年から始めたのですが、中部電力の100%の子会社で、中電ウィング株式会社といって、ハンディキャップを持っている人だけでやっている会社があります。その会社も1日見学に行ってもらっています。3ヶ月の研修の終わったときに新入社員の感想を聞くと、中電ウィングに一番、強烈な印象を受けたらしいですね。「ハンディキャップを持っている人が、あれだけのことを一生懸命やっている。それに比べてわれわれは何と恵まれているか。これはもう、しっかりやらにゃいかん!」という気になるということのようです。その他に、2年目、3年目、4年目、5年目までは定期的に研修をやっております。 加えて、これは他にもやっていらっしゃる企業も多いと思いますが、スキル管理システムというものがあります。いわゆるITSSなどのスキルを中心にして社員一人一人のスキルをデータベース化いたしまして、「こういうスキルを持った人は社内のどこにいるのか」ということがすぐ分かるようにして、さらにそのスキルの研鑽に励んでもらう。あるいは人事異動に生かすということにしております。

「認定プロフェッショナル」というユニークな制度

八木
あとは自己啓発の支援制度ですね。いろいろな資格を取ったときに報奨金を出す制度がございます。e-ラーニングも本格的に始めまして、今だいたい450コースくらいあると思います。それからキャリアチャレンジといいますか、いわゆる自己申告制度があります。「自分は今度、こういうキャリアにチャレンジする」と申告し、上長が面接して、1年が終わったらまた反省して、さらにステップアップさせる。また、これはわが社の一番の特色かと思いますが、私どもの会社の名前を付けて、「中電シーティーアイ認定プロフェッショナル制度」という制度をつくりました。これはいろいろな分野で、会社が本当にプロと認めた社員を活用する制度です。ITSSでハイレベルにいるのももちろんですが、あくまで会社の目標、会社に貢献するだけのレベルのスキルを持った人間を「認定プロフェッショナル」としまして、この人の背中を見て、社員の皆さんに仕事をしてもらう。さらに、プロフェッショナルは、必ず1年に2人くらいは後進を育てさせるようにしています。そうすると1が2に、2が4にと、プロフェッショナルがねずみ算式に増えていきます。認定プロフェッショナルには、認定時の報酬金を50万円出しますし、大体100万円を目処に、自分で計画して勉強してきてもいいという制度もつくりました。これまでに認定されたプロフェッショナルは、例えば、シリコンバレーに行ったり、あるいはアメリカのIBMの本社の工場に行って直接ディスカスしてきたり、この制度を上手に使っています。


その認定プロフェッショナルの方というのは、予算については自己の裁量で、もちろん会社との協議もあるのでしょうけど、自己鍛錬のためにお金を使うことができるということですね。

八木
報奨金は一律に与えております。研修は、一応、100万円という限度も置いておりますけど、その中なら好きなことをやっていいよと。それぞれ自分の仕事の都合などを考えて、最も行きたいところを選んで、勉強してきているようですね。


それは素晴らしい制度です。モチベーションが上がりますね。実は、中電シーティーアイ本社と私どもの名古屋事務所は、同じビルにございます。と言いますか、私どもがずっとあとから入ったのですが、中電シーティーアイ殿が入っているビルと同じです。先日お邪魔したときに、その認定プロフェッショナルの方々の写真が、格好良く入り口のところに掲示されているのをお見受けしました。それはどういうお考えからですか。

八木
やはり、認定プロッフェッショナルの写真を飾ると、本人たちの励みになって、仕事に燃えるということもありましてね。社長の写真なんかを飾るのはもってのほかです(笑)。


お一人ずつの写真を拝見させてもらいました。正直言いまして、一般にわれわれの業界というのは、やや暗いですよね。そういう中で、写真を見ますと、皆さんなかなか凛々しい。写真を撮る際にもプロフェッショナルな方を使っていらっしゃるのでしょうか?

八木
ええ、もちろんプロのカメラマンを使っています。大体の人が実物より写真の方がいいですね(笑)。


御社には、どういった職種の認定プロフェッショナルが存在するのですか。それから合格するときの厳しさはどのくらいで、どんな認定方法を採ってらっしゃるのでしょうか。

八木
私も正確な倍率は知らないのですけれど、けっこう厳しい試験です。これは去年から始まったばかりの制度で、職種もプロジェクトマネジャとITアーキテクトの2業種に絞っていたのですが、これからさらに、ITスペシャリスト、アプリケーションのスペシャリスト、あるいはITのサービスマネジャにも拡大します。私どもの会社は、中部電力の仕事も含めて保守の仕事も多いのです。ですから、やはり開発ばかりでなくて、保守の仕事こそが、本当に底辺のところで私どもの会社を支えてくれているので、そういう人たちにも門戸を開くかたちでやっております。


それは素晴らしいことだと思います。認定する際には、面接や口頭試問のようなことをされるのでしょうか。

八木
ええ、論文と面接です。面接のときには、本当にうちの会社でも有数のプロに面接してもらっていますから、これはかなり厳しいと思います。今まで3回認定試験をやったのですけど、3回続けて落ちた方もいます。


一つの会社をチームとして見たときに、社員の方々が目指すべき人がいるというのは、素晴らしいことですよね。私もこの2年ほど、どこで講演してもサブタイトルには「明るく元気なIT組織」と入れております。まあ、ドラッカー流なのかもしれませんが、シンプルが一番いい。ですから、ITも明るく元気な組織を目指す。その中で、大リーグで言えばイチローとか松井のように、スーパースターというか、われわれから見ても明らかにその人を目指せばよいというモデルが必要だと思います。抽象的な目標ではなくて、目の前で活躍している人を見て、「ああ、こういう人になりたい」と思うことが大切です。この認定プロフェッショナル制度には、そういう試みの一端を感じますね。

八木
これは今年から導入する予定ですけれど、今のITプロフェッショナルを中心に、上級の人たちに若い人を、ある程度マンツーマンで指導してもらう、メンタリング制度といいますか、徒弟制度と申しますか、これも導入したいと思います。


なるほど、どうもありがとうございました。短い時間で御社の人材育成の全貌をお話いただくのはなかなか難しいですが、その概略をお聞かせいただけたかと思います。なかでも、認定プロフェッショナル制度という取り組みは非常にすばらしいと思います。実際に「見える化」していくということが非常に重要ですよね。

八木
はい、そのように思っています。

(次回に続く)

構成:萩谷美也子

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