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2007年8月31日

【PM研修】第四回 PM研修の満足度はどこから生まれるのか

コミュニケーションの要としてのPM、それゆえの悩み

山口
このオープンコースでは、講師の方も気さくで、お話いただいた内容も、「あるある。あるよね、そういうこと」ということが、すごく多かったです。ですから話を聞きながら「ああ、そういうトラブルってあるよね。普通に見るよね」と自分にひきつけて考えられました。やはり講師の方の実体験からきているものは、すごくリアリティがあります。リアリティがない勉強って、あまり意味がない。「あ、それ知っている」で終わりですよね。

― トラブルとその対処法を、本当に経験した人から伝え聞くことによって疑似体験ができます。ですから、実際に遭遇したときに、うろたえ方が少なくなるというか、判断がぶれにくくなると思います。パニックになって、思いっきりぶれた判断をするのか、ちょっとたじろぐけど、まあまあ、それなりの判断をするのかの違いというのは、実は大きいですね。

山口
私はいっぱいたじろいでいます(笑)

松井
私はなるべくたじろがないように、何かしんどいな、忙しいなというときは、とりあえず一回腰を落ち着けるようにしていますね。だから、回りから「焦っているところを見たことがない」と言われるのですけど、本人はボーっとしながらもテンパッていますよ(笑)

山口
焦っているときには、私はすぐ上に、「もう、これはまずいです」といってしまうようにしています。細かいことでも、すぐエスカレーションしてしまう。

松井
私もエスカレーションはするようにしていますね。もう、どんな小さいことでも、「面倒くさいな」と思われながらでも、自分の直接の上にあたる何人かとキーマンには、全部話を通しておく。そうすると、困ったときに「あの件なんですけど…」と言えば、味方になってくれることが多いですね。自分だけで抱えていて、どうしようもなくなったときに、いきなり話したら、「何でそんなことになるんだ!」と、本来味方にできたはずの人が敵になってしまう。経緯まで全部話しておけば、やりやすくはなると思います。ただそれは結局、私がメンバーだからできることでマネジメントという立場になったときに、次はどこと連携しておけばいいのかが見えないですね。特に、今私がやっているような案件では、そこが難しい。

山口
そうですよね。経緯といっても、やはり上の方はサマリーだけ欲しいのですよ。時間もないし、忙しいし、「経緯なんか聞いても分からないよ」と言われるほうが多いと思います。私は現場に近いところにいますから、経緯も聞くようにしているので分かるのですけど、私が仮に上司に経緯を話したとしても、いつも分かっていただけるとは限らないです。極力聞いてもらうようにはしていますし、今の上司は聞いてくださる方なので、全然不満はないのですけれど、たまに聞いてくださらない方もいらっしゃる。
そういう場合、最初に要点だけ言って、「経緯はこうです」と、あとから説明するというのもひとつの方法かとは思うのですが、どうしても、そこで意識のギャップが生まれますよね。プロジェクトでは、実際にワークしてくれている方々が、気付いたことを上に言える環境かどうかというのは、非常に大事だと思うのです。彼らは「この人は話を聞いてくれないな」と思った人には、絶対話をしてくれないですから。マネジャは聞く耳を持って、逆に現場の人がこそこそ話をしていても、「何? その話」と首を突っ込んでみるとか、そういうことをもっとやっていくべきではないかと思います。私もたまたま聞こえたら、首を突っ込むようにはしてはいるのですが、もっと上の方からそういう文化があるといいと思います。プロジェクトと言っても結局組織の中にあるので、プロジェクトを成功させるには、組織そのものが、プロジェクトがうまくいくような形になっていないと難しいのではないでしょうか。

― コントロール編の中で、問題を洞察するワークがあって、進捗やドキュメントの問題を深掘りしていくと、結局は人と組織の問題になるという話になりましたね。

松井
ありましたね。現場でもそうだと思うのですが、結局は組織の問題ということですよね。そこを変えるには、自分が上に昇らないといけない。実績のない人間が「ああだこうだ」と言っても、上の立場の人間からすると「じゃあ、お前がやってみろ。できないだろう」と思うだけでしょうから。今自分たちが抱えているものはたくさんあるのだけれど、それを言えるようになるには、実績をつくり人をまとめる立場に立ってやっていかないといけないという気持ちがあります。だから、それを早くやりたいな、と思っています。
とにかく、この業界には一番下の人間を使い過ぎるところがあります。言い方がよくないですけど、プログラマも使い捨てみたいなところがありますよね。負荷をどんどんかけて、「つぶれたら次を入れればいい」と。組織としてそういう使い方になってしまっている部分もあるのではないか。そうではなく、まず一番下の人間が気持ちよく働ける環境をつくる。そういう環境をつくれば当然働きたいという人も増えるだろうし、人が離れるのも防げるだろうし、そうするとビジネスの機会というのはどんどん広がっていく。私はそういう考え方をしたいのです。

山口
それは非常に共感できますね。ただ、私の立場としては、人が足りなくて「もう一人欲しいんですけど」と言われることがあるのです。コスト的に人は投入できなくて「あと1ヶ月頑張ってくれ」と言わざるを得ないときが、やはりあります。現場の人に負荷をかける決断をしないとけない。それは非常にストレスで、ものすごくつらいです。「じゃあ、代わりに僕が一緒にやってあげるよ」ともなかなか言えないし。

― お気持ちは分かりますが、PMはそれをやってはいけませんね。

山口
前は、それをやってしまっていたんですよ。「忙しくて、ちょっとこれ間に合いそうにない」と言われると、「じゃあ、それ僕がやってあげるよ」と、自分でプログラミングして。

― また、自分がやったほうが早くできるでしょう。

山口
そう、実際に半分くらいの工数でできてしまうこともあったり。ですから、周りからもほめられますよね。だから「僕がやればプロジェクトは早く円滑に、納期通りに終わるんだから、僕がやって何が悪いの?」と思っていたのですが…だんだん時間が経つと、計画そのものがぐだぐだになってくるのが分かりました。そこで「ああ、やっぱり、僕がやっては駄目なんだ」と、初めて飲み込めたんです。

松井
それをやってもいいのは、リーダーまでの気がします。実際にやってみて、一番負荷が掛かるべき立場がリーダーかなと思っているのです。リーダーまではいくらテンパッてもいいですから。でも、その上のマネジャがテンパッたらアウトだという気がして。

― そうですね。冷静な判断が下せなくなってしまいます。

山口
理想を言えば、リーダーにもあまり負荷が掛からないというのがベストですよね。

松井
そうですね。理想だけれども、工数とかの絡みがあるとそこは難しい気がします。

― そうですね。悩ましいところですね。でもやはり、そういうところを実際に通らないとマネジメントは分からないですから。

山口
それは全く分からないです。

松井
今みたいな話を聞くと、PMを早くできるようになりたいなと思います。

― でも今は求められているポジションでがんばらないと。

松井
そうですね。

山口
私の場合、もともと別のキャリアのある方がPMの予定だったのに、アサインできなくなって、降って沸いたPMという感じですよ。

― でも、山口さんの上司の方は、山口さんはPMでがんばらせると断言していましたよ(笑)

松井
山口さんのお話を聞いていると、「こういうPMの下での仕事だったらできるな」と感じますね。話を聞いてくれるっていうところがやっぱり一番大きいです。

ワークショップという仕組みが参加者の主体性を引き出す

― 別々の時期に研修に参加されて、こんなに盛り上がるとは(笑)。でもお二人のように自分からやりたいという気持ちのある人でないと、なかなか研修効果は上がらないです。ですから、なるべく主体的に参加してほしいと思っています。やらされている研修は、つまらないじゃないですか。

松井
そうですね。寝てしまいますしね(笑)

― 逆に言うと、お二人はなぜ、主体的に動く人になれたのでしょうか。

松井
難しい質問ですね。たぶん性格的な部分が大きいと思います。分からないことがあれば、とにかくそこに踏み込んでみたいというところがある。踏み込むということは、とりあえず前に動くということだから、見方を変えれば主体的というところにつながるのかなとは思いますね。
あとは、性格がおとなしくて、思っていてもなかなか前に出られない人がいれば、それは上の人間とか回りの人間がちょっと背中を押してやるといいと思うのです。一回動き始めたら、あとはもう雪だるま式に動いてしまうと思いますよ。

山口
主体性という話ですと、私は内向的な性格ですし、今も根っこは変わっていないと思っているのですが、人と話ができるようになったきっかけはありましたね。私は学生時代からマスターコースまでワークショップの研究をしていたのです。

― それはまた、面白そうですね。どういうふうに研究されていたのですか?

山口
ワークショップを心理学的に研究していました。そういった研究を何年かやっていたので、今回のワークショップは、そういう観点でも見させていただきました。

松井
専門家ですね。

山口
今回のワークショップでやったことには、自分の中にもすごく意味があったし、ほかの方にもあったと思います。ワークショップに参加する段階では、必ずしもその人は主体性がなくてもいいのではないかと私は思っているのです。そのワークショップという学びの機会が、どれだけその人を主体的にできるかというほうが重要だと思っていますね。それは仕事の場面でもそうですし、自分はこういうことをやるのだとか、やってみて面白いのだとか気付くきっかけを、どれだけ会社組織が提供できるかもそうですし、こういう研修コースが提供できるのも、そういうことだと思うんですよ。

― 確かに、そういった機会があると自分でも思ってもいなかった面が引き出されることがありますものね。

山口
そうですね。さらに他の会社の方々の様子が分かります。自分はあまりやる気がなくて来てみたけれど、「ああ、みんなこんなにモチベーション高くやっているんだ」というのが見られるだけでも、「僕もやってみようかな」となる可能性は非常に高いですね。それはもう私自身がワークショップデザインを何十もやってきて、その経験から見えているので、ワークショップでやるというのは、非常にいいところに目をつけているなと、ちょっと上から目線で申し訳ないのですけれど(笑)、そんなことを考えながら受けさせていただきました。

松井
確かにワークショップのいいところは、そこにありますよね。一人でもガッと動く人間がいれば、それに引きずられて、いつの間にか発言しているという人も出てきます。

山口
ワークショップという形態そのものが、主体性を引き出す仕組みになっているのではないかと。だから「主体性を獲得する」というというよりは、「獲得してもらうような仕組み」を、本当は会社でもつくれるのではないかと思います。

― 私も社外でワークショップが少ない研修を受けると、満足感も少ない感じがします。

松井
私も座学で受けると、まず疲れが先にきます。「あれは何?」「これは何?」って聞きたいのだけれども、聞けないですから。私みたいな性格だとワークショップはやりやすいです。とりあえず口火を切って、よく分からないけどしゃべり出す(笑)。

山口
そういう人が一人いると活性化しますね。プロジェクトでもそういう人の役割は大事です。ただ、その人の独壇場になってしまうと、また問題ですけれど(笑)。特にワークショップのファシリテーターは、あくまでも触媒なので。

松井
私は多分ファシリテーターはできない(笑)。独壇場になってしまいますね。私はよく「何だか分かんないけど説得力あるよね」といわれるのですが、でも深いところまで考えて話しているわけではなかったりする。突っ込みどころ満載なのに、そこでみんなが納得してしまったらまずいこともあるのです。なるべく気をつけて、人の意見を聞くようにはしているのですけれど。

― なるほど。そのときは納得したような気になるけれども、あとから「あれ?」いう疑問が出てくるというケースですね。そういう時は「とりあえず揺さぶる」役割の人がいるといいです。松井さんの意見に反対ではないけれど、みんなが「うんうん」とうなずくだけで話が通ってしまうと危ないので、一度「でも、こういうケースのときはどうするんですか?」とか「それって、何が元になってそういう考え方をされているんですか?」とわざと疑問を投げかけてリセットする。そういう人と組んで仕事をするとうまくいくと思います。

松井
そういう人がいてくれるほうが、私もちょっとおとなしくできそうですね(笑)

やはり計画は重要、そしてドキュメントはゴールではない

― それでは最後に、今回の研修で、もっとこのへんが聞きたかったとか、もっとこうしたほうがいいとか、ご要望やご意見があったら、ぜひお聞きしたいと思います。もちろん、ここがよかった、ということでもけっこうです。

松井
私の受けたコントロール編はちゃんとした計画を立てているという前提で進んでいくので、「その計画は、どうやって立てていけばいいのか」というところをすごく聞きたかったです。

― そうですね。コントロール編を先に受けられる方は、「今自分が抱えているプロジェクトがちょっとまずい状態になってきたな」という方にもよいですね。お医者さんがよく言うように、病気の根本原因を取り除く前に、患者さんが高熱で苦しんでいればまず熱を下げ、痛みで眠れなければ痛み止めを出す。今、目の前のプロジェクトでとても困っていることがあれば、コントロールから受講して、プロジェクトが小康状態、または新しいプロジェクトを控えているようであれば計画編からじっくり受けていただくという感じでしょうか。松井さんは、次は計画編をぜひ(笑)

山口
そうすると私はコントロール編から受けたほうが良かったのかもしれませんね(笑)。でも、計画編から受けてやはり良かったと思います。もともと段取りを立てるのがあまり得意ではなかったし。今私は、段取り8割、多分実行2割くらいの感じでプロジェクトを捉えています。計画がちゃんとできていれば、あとはやるだけなのですよ。やっているうちにも、いろいろ起こると思いますが、計画がうまくできていれば8割成功と思えるくらい計画は重要だと、実際にやってみて思いました。
それと、さっき松井さんがおっしゃっていましたが、いただいた資料も含めて研修で使ったドキュメントは、会社にも全部揃っているのです。「あ、これどこかで見たことあるな。これも見たことあるな」というのばかりでした(笑)
ただ、それをどう使えばいいのか分かっている人は非常に少ないですね。意味を分かって使っているのと、ただ言われて使っているのとは、全然効果が違います。ドキュメントをどう書くのか、演習の中で直接やりながら学べたのは非常によかったです。ドキュメントは作ることが目的ではないということがよく分かりました。ドキュメントがゴールになってしまわないように気をつけようと思います。

松井
プロジェクトをうまくやるために必要なところだけ、ドキュメントをそろえていればいいという気がしますしね。

― オーバースペックの必要はありませんね。そういうところに気付かれたのはとてもよかったと思います。
今回は、お二人のおかげで、非常にプロジェクトの現場の臨場感もあり、また内容の深い座談会になりました。どうもありがとうございました。今後のますますのご活躍をお祈りしております。

(終わり)

構成:萩谷美也子

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