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2008年1月 7日

【新春放談】第1回 「2008年は原点回帰とさらなるチャレンジの年に」

新年を迎え、今年のテーマを宣言

林 衛、能登原伸二

― 今年もアイ・ティ・イノベーションのトップお二人に、大いに語っていただこうと思いますので、よろしくお願いいたします。
昨年の新春放談は、「複雑化の時代こそ単純な目標を」「やるぞという気持ちを支えるスキルと体力」「プロとしての力量、そして教養が生き残りの条件」「IT業界を明るく元気にするために」というタイトルになっております。


昨年は、振り返るとなかなかいいことを言っていますね(笑)。でも反省点を言えば、複雑化の時代に、やはり複雑さに翻弄されて終わってしまったような気もします。言い訳も多かったし。

能登原
振り返ってみると、昨年は林社長が「IT業界を明るく元気に」と、ずっと言い続けた年でしたね。
私は、2007年は原理・原則の年だという話をしたと思いますが、2008年はチャレンジの年でいきたいと思います。


私は、もう今年一年言い続けることを、すでに決めているのですよ。

― それはどのようなことですか?


「創業期に戻ろう」「原点に返ろう」。つまり精神的には、創業期の何もないところに戻ろうということです。私は今年、それをずっと言い続けると決めました。

― その理由は? なぜそれを言い続けるとお決めになったのですか。


創業期というのは夢と希望に燃えているわけだし、原点の精神構造をみんなで共有していれば、さらなる発展につながります。いろいろな経験は積んできましたが、精神構造としては「創業期だ」と思って仕事をしよう。そのようなスタンスであれば、ないはずのものがあれば、ありがたいと思うでしょう。創業期なのだから、いろいろなものがなくて当たり前です。それが私の今の心境で、「じゃあ、やってやろうか!」という感じですね。ゼロから筋肉を鍛えなおそうと。

― 能登原さんはいかがですか?

能登原
最近、世の中で成長するために、さらなるチャレンジが必要だと強く感じるようになりました。現代の日本社会は、成熟はしているのです。欲しいものは、大体手に入れることができます。その中で日本は少子化が進み、労働人口も減ってきます。ということは、あまり消費意欲も起きないですよね。ですから、例えば自動車が売れなくなっていて、今国内販売は軒並み苦しい状況になっており、市場をどんどん海外に求めているわけです。
その中で、私が最近注目しているのは、任天堂のWiiです。最近また、TVCMで、いきなり人が上に乗る板みたいなものが登場して、「なんだこれは!!!」とみんなに思わせていますよね。そこでまた、ヘルスケア関係のゲームを出していくわけです。ちょっと時間が経ってから、今度は、サーカーのヘディングとか、スキーのジャンプなどのゲームが出てきて、「えっ、そんな使い方もできるのか!」という驚きがあります。


そうですね。今年はわれわれも、とんでもないことを言い出して、最低あの程度の驚きを引き起こす必要があると思います。

能登原
任天堂はWiiを使って、これからもっともっといろいろなゲームを出してくるのでしょうね。あのアイディアはすごいと思います。
要するに、一方では「消費者が買ってくれない」「安くしないと売れない」とみんな思っていて、だから例のミートホープのように、牛肉といっていて実は豚肉だったり、船場吉兆の偽装問題とか起きるわけです。昨年は賞味期限を書き換える偽装も多かったのですが、そのような負の対処ではなく、任天堂のWiiのようなチャレンジをしていく必要があると思うのですよ。
みんなが、考えもしなかった、現状ではなにもないところにいちはやく気づいて、そこに向かって何か新しいものを生み出していくということです。これからはそういうことのできる人間を日本に増やしていって、新しいものを生み出せる国になっていく必要があると思っているのです。

常識を超える発想はどこから来るのか

能登原伸二

能登原
その最先端をいっているのが任天堂のWiiなのではないでしょうか。比較して申し訳ないけれど、任天堂の同業他社は、それを生み出せていません。その理由は私にもよくわからないですが、何か大企業病の一種なのかもしれません。


残念ながら、新しいものを生み出せない状態が定着してしまいましたね。

能登原
もちろん、社員もがんばってはいるのでしょうけれど、明らかに差をつけられてしまっています。あれは、ほんとうに何に原因があるのでしょう?
とにかく、Wiiのように何かまったく新しいものを生み出していこうとするチャレンジを、われわれもやって行きたいし、日本全体がそういうふうになるように支援していきたいと思っています。そこを追求していくことが、今、非常に重要だと思います。


それ以上にIT企業には、何かを生み出しそうにない雰囲気が蔓延しています。ほとんどの人が最初は「そんなの無理だよ」と反対したりしていますが、「おおっ!」と驚くようなことに、まったく新しいアイディアの芽があるわけです。われわれも「そういうものがどこから出てくるのか」ということを考えなければいけません。これは、そうしようと思ってもなかなかできるものではですから。まったく新しいものを生み出す土壌となるのが、能登原さんが去年言っていたように、基礎であり原点であり、その積み重ねですよね。
われわれは、任天堂のWiiを見て、その表面的なところに追従するのではなく、同じような発想で、また違うものを生み出したい。おそらくそこには何か共通のものがあるはずです。たぶん、任天堂の場合には大切にしているものが非常に深いのではないかと思います。
任天堂は、元々花札やトランプを作っていた会社ですよね。カードゲームからデジタルに行ったわけですが、マイクロソフトやオラクルとはまた別な次元でのグローバル企業にまで成長しました。それがすごいと思います。

能登原
あそこの作ってきたものは、一貫して家族や友達と遊べるゲームなのですよね。
みんなでできる。年齢がばらばらで知的レベルが揃っていなくても、集まればすぐにできるゲームが多いですね。


それに生活に絶対必要なものではない。家族の生活のすぐ隣にあって、でも実は笑いやコミュニケーションを生むものとして、生活必需品と同じくらい大切なものかもしれないですね。そういうものは、どの分野のビジネスにも絶対あるのでしょう。

能登原
そうですよ。われわれのやっているITのビジネスでも、そういうものがあるはずです。任天堂は企業としての基本理念、ミッションがしっかりしていますね。そこからは、ぶれていないと言うのは、非常に正しいと思います。


製品はワープするけど(笑)、理念はぶれていないです。その逆だと、それはもうひどいことですが。

― それは先ほど林社長のおっしゃった、「創業期に戻る」というのにつながるかもしれませんね。


何もなかった状態にまで、みんなで戻って一緒に考えようということです。
普通に言うと、「じゃあ、戦略は?」と、難しいことを考えるほうに行きますよね。それももちろん大事だけど、じっくり「車座集会」でもやって、みんなの話を聞く時間が、そういう新しいものを生み出すかもしれないと思います。

人材育成の機運が高まった2007年

― 昨年、2007年にはお客様の側には何か変化がありましたか? 今までと違うアプローチとか。

能登原
私の印象では、2007年はお客様が人材育成に積極的になり、また人材育成について考える事例が増えたような気がします。


お客様も選別していますね。より欲しいものだけを買うというふうになってきています。

能登原
もうひとつ、PMの世界で言うと、単独のプロジェクトというよりも、組織としてのPMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)のようなものがだいぶ定着してきました。そこをどう作って、組織としてどのように成熟度を上げていくかという案件も増えてきました。

― お客様が人材育成のほうに向いてきたと言うお話ですが、お客様の組織での人材育成は上手くいっているのですか。


大雑把に言ってしまうと、上手くいっていないですね。全般に上手くいっていない中に、何社か上手く行っている会社があるという構図です。上手く行っているところでも、見てみるといろいろと改善の余地があります。本気の人材育成をIT組織の中でやり始め、生き残りをかけるようになったのはここ3,4年ですから。真剣味のある少数派と、全体の流れに従ってなんとなくやっている多数の企業から構成されています。

― 人材育成の取り組みで、上手く行っているところと上手くいっていないところの違いは、なんだったのですか。

能登原
私は、やはりトップの意識、つまり危機感があるかないかだと思います。様々な局面で自社の人員のスキルが足りない、もっとこういうスキルがあればもっとよい開発ができたり、よいビジネスを構築することができた、あるいはお客様に迷惑をかけないですんだという話は、経営者の耳に入っていると思うのです。
それをわかった上で、やはり人材育成をやっていかなければいけないという危機感があれば、経営者が意思決定して、実際の行動につながっていくはずです。ですからトップの意識が一番大きいのではないでしょうか。
特に人材育成は、なかなか下のほうでは投資が決められませんから、トップが判断しないと。

― アイ・ティ・イノベーションではインドでのIT教育というサービスも提供していますが、人材育成の中で、インド教育はどのような位置づけでしょうか。


インド教育について、私は百万通りくらいの説明ができるのだけれど、人材育成ということから言うと、人の可能性を根本からもう一度鍛えなおすと言うことに通じます。インド研修に社員を派遣すると、今まで日本の常識だけを正しいと思っていた枠組みが崩れます。「あ、それもひとつの考え方だったんだ」と気がつきます。また、言語の問題にも直面することになります。そういうもので、その人を揺さぶって考え直すチャンスを与えるということですから、モチベーションの高い人が行けば、ものすごく影響を受けるし、非常に人間の幅が広がります。「地球上どこに行っても仕事をするぞ!」という意識が生まれる。

能登原
メーカーで働く人間にとってみれば、海外に出て行って仕事をしなければならないのは、今ではごく当たり前のことになっていますよね。


そうですね。よく考えたら、IT業界にとっても当たり前のことなのですよ。どんどん世の中はソフト化してネットワークでつながっては来ているけれど、日本という国には資源がなくて、日本の企業はほとんど海外で稼いでいくわけです。ですからそこで働いている人たちが、仕事をするにせよ、教育を受けるにせよ、海外に出て行かずに日本だけで閉じていられるということ自体がおかしなことなのです。
トヨタ自動車だって松下電器だって、大きな会社はほとんど海外で稼いでいます。国内の市場は飽和していますよね。ほぼ7割を海外に依存している。ということは、その分の仕事が外にあるということです。その状況の中で困らないで仕事をやっていけるようにしようというのは、非常に自然なことです。だからインドでの教育が特別なものではないのですよ。そのように、一度自分の置かれている環境を外側から見ることが非常に大切だと思います。

(次回に続く)

構成:萩谷美也子

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