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2008年2月15日

【PM研修座談会】第三回 「グローバル展開の中で求められる人材育成」

オフショア開発プロジェクトが今後は必須に

西本さん、菊地さん、松下さん

西本
アイ・ティ・イノベーションさんにはスキルインベントリーもご支援いただいているのですが、プロジェクトマネジメント・スキルが必要なのはプロマネだけではありません。全職種でプロジェクトマネジメントの基礎や計画技法は勉強しなければなりませんよと、われわれも人材育成や各々のプロジェクトで言っています。
いま菊地さんが言ったように、菊地さん以外の人たちにも研修を受けてもらうか、もしくは何らかの形でプロジェクトマネジメントの知識を吸収してもらわないと、どこかで話が合わなくなってくるのだろうと思います。

― 同じチームにあと一人か二人でもいいのです。菊地さんの意見に同意して、一緒になってそちらに向かって行ってくださる方がいればかなり違うと思います。リーダーが全員を説き伏せないと動かないのでは、負担が大きいですよね。

菊地
そうなんですよ。なかなか、「プロジェクト一般的には、こうですよ」と話をしても、共通の基盤がないので伝わらなかったりします。ユーザーさんからは「良いものを取りあえず早く入れてくれ」とよく言われます。手順をきちんと踏んでやっていくことが、最終的に早さにつながります。そこを理解してもらうのがこれからの課題かなと思っています。

― その通りですね。場当たり的にやってしまうと、結局抜け漏れがでて、かえって手間がかかるという事態になりかねません。菊地のさんプロジェクトは、かなり大きなプロジェクトなのでしょうか。

菊地
約30人月ぐらいの規模のプロジェクトです。

西本
難しいのは、開発が中国の大連になることでしょう。

菊地
そうですね。

西本
ユーザーからヒアリング、システム化提案及び要件定義と外部設計は日本での作業ですが、そのあとの工程は大連で行います。検収・テストはまた日本でという作業分担になるでしょう。そのように場所が違う場合のマネジメントでは、どういうことに留意すべきかということも、菊地さんは考えて行かなければなりません。IT業界ではインドや中国でのオフショア開発が主流になってきて、日本で一気通貫にやるプロジェクトというのがほどんとないという状況です。どうしても開発は2拠点、3拠点使いながらやることが多いので、それをマネジメントする難しさが、出てきてと思います。

― それはありますね。

西本
わが社でも最近は大連でのオフショア開発が主流です。プログラム品質の維持・向上がキーになるのですが、言葉が違い、文化が違うとなると、「このくらい伝わっているはずだ」が通用しないのです。確認せずに進めてしまうと、あとで戻り工数が発生することになります。
菊地さんにはそのあたりに気を付けてやってもらえればと思うのですが。

― 例えばRFPも日本人がイメージしているRFPとは項目立てや粒度が全然違いますでしょう。結構、細かく詳しい指示書を出さないとその通りにやってくれませんよね。「できてないじゃないですか」「でも、そう書いてなかったでしょ」という話になりがちです。

西本
まさにそうですね。菊地さんも、「ここは言わないでも分かるだろう」と思っても、相手が理解していないことがあるから気を付けてください。

― 日本人は普段、阿吽のコミュニケーションに慣れているので、一つ一つ言葉にしたり、ドキュメントにしたりしないと通じないコミュニケーションはけっこう辛いです。西本さんもご経験があると思いますが。

西本
そうですね。プロジェクトを管理しいているメンバーからすれば、「何でそこまで?という印象を持つかもしれませんが、文化ギャップ、考え方の違いは常に意識しなければなりません。

― 菊地さんは、オフショアプロジェクトは初めてなのですね。

菊地
はい、初めてです。

― いろいろたいへんそうですが、きっとよい経験を積めると思います。
西本さんは上司として、今回の研修もそうですし、オフショア開発のマネジャ育成を含めたトータルな育成プランもお考えだと思いますが。

西本
はい。グローバル展開をしているアルプス電気様がわれわれの大きなお客さまですから、そこでALSIとしてどうやって価値を創出していくかが大きなポイントだと思いますし、グローバルSEをどうやって育てるかというのが、われわれのミッションです。弊社は全社員220人のうち女性社員が40人ぐらいです。特に女性だからということは意識していませんし、彼女らにも当然、そういったところで頑張ってもらいたいなと思います。今まで日本のシステムがメインだったのですが、菊地さんはいま海外にも展開するシステムを担当しています。これからオフショアでのプロジェクト含めて、もっとグローバルなマインドを身に付けてもらいたいと思っています。松下さんのほうは今、国内の営業系がメインの仕事になっていますが、「いつまでも国内だけじゃないよ」「海外もあるよ」ということは常々言っていますので、同じような目標を持ってもらいたいと思っています。

女性のキャリアパスとオフショア開発

松下さん

― お二人はALSIさんの中で、「今後こういうふうにステップアップしていきたいな」というイメージを持たれていますか。それから、そういうことを上司の方と話される機会はあるのでしょうか。

松下
そうですね。女性だからというのは特に意識はしていませんが、いま西本からあったように女性が少ないので、うまく会社の中で自分のキャリアを積みながら「女性だけどALSIのなかでこういうふうにやっていけるよ」と周囲にも納得してもらいたいです。その結果、さらに女性が増えて、社内が活性化していけるというのが会社としても健全ですし、できればそういう存在になっていきたいというイメージは漠然とあります。
やはり、女性が増えてほしいという気持ちはありますね。

― 女性でもできるという実例があれば、後に続く人は楽になりますね。

松下
そうですね。

― まだ実例まではいかないのですが、インド研修の受講生などを見ていると、意外に女性のほうがオフショア開発向きかもしれないという気が、最近ちょっとしています。
お二人を研修に出された西本さん目の付けどころは非常に鋭いのではないかと思いました。

西本
そうですか、その理由をお聞かせ願えますか。

― あくまで印象ですが、異文化に放り込まれたときに、女性のほうがタフに乗り切られるケースが多いように思います。もちろん個人差もありますが、適応力に優れ、マルチタスクに強く、違うカルチャーになじみやすい女性が多く見受けられます。それと比較して、特にITの技術者系の男性は、コンサルでもアナリストでも、一つのことを深く突き詰めるのが得意です。マルチタスクであれもこれもというのは苦手な方がわりと多いようです。

西本
なるほど、そうかもしれませんね。

松下
西本さんはマルチタスクですよね(笑)

― それとくらべ、女性は常日頃がマルチタスクなので、必死に仕事しながらも「お昼何食べようかな」と考えているものです。

西本
そういう人がオフショアに向いていると。

― ええ。違うカルチャーの中で、新しい言葉も覚え、新しい食べ物や風土にもなじみながら何かを達成するというのには、女性のほうがハードルが低い感じです。現地の食べ物を美味しく召し上がって病気になりにくいし(笑)、適応力が高いです。
さらにオフショアとなると、調整力はもちろん、先ほどおっしゃられたように細かい確認を怠らずやっていかないと、必ず大きな手戻りにつながってしまいます。そういう条件での仕事には、比較的女性が向いている部分があるのではないかと思います。もしかしたら、それを考えられてこのお二人を研修に出されたのかなと思ったのですが。

西本
そこまで考えてはいませんでしたが、ただ、プロジェクトリーダーとしての素質はあるとはもちろん思っています。研修への参加は、私が感じているところと本人の意志が合致したという感じでしょう。オフショアまでは正直意識していませんでしが。

リーダーの資質があれば性別を問わない

西本さん

― そのプロジェクトリーダーとしての資質を、菊地さんも松下さんもお持ちだと、西本さんがにらまれた、そのポイントはどのあたりですか。ご本人たちを目の前にされると言いにくいかもしれないですけど。

西本
私も実は思うところがあったんです。アメリカからの帰任が決まった際に、販売情報課を担当するというお話しを頂きました。、自分はあまり勤勉なほうじゃないですから「楽したい」という思いがあって(笑)、「そのためには、いいリーダーを何とか育てなあかんな」と(笑)、そう思ったわけです。
もう一つ、海外では多くの女性のリーダー・マネージャーが職場で活躍しています。男女比でみると、日本とは比較にならないほど女性の進出率が高い。そういった環境に10年ぐらいいて日本に帰って来ると、やはり異質に感じるんですよ。女性が少なすぎて。

― それはそうですね。

西本
二人は前から知っていて、資質があると思っていました。もともと発言力もありましたし。それらを踏まえて、「ぜひ」ということでお願いした次第です。
褒め過ぎかな(笑)?

松下
いえいえ。もっと言ってくださっていいですよ(笑)。

― 日本の男性の上司の方たちは、これから育ってほしい人女性の部下の方たちを褒めることが苦手な方が多いようですが、西本さんならできそうな気がします。もっと褒めて、上手に育てることが。

西本
私がどれだけ褒めているかはよく分からないですけど、自分では心がけようとしています。

― 例えばお二人が受講されたいと思われたときに、「じゃあ女性2名だったら、男性2名も付けて」とか、「女性はどちらか1人にして男性1名を入れようと、数合わせを考える上司も多そうじゃないですか。

松下
確かに(笑)。

― 「二人行きたいんだったら行って来い」「ちゃんと勉強して来い」って言ってくださる上司は素晴らしいなと。

西本
そうですか?(笑)。

松下
こういった機会を与えてもらえるかどうかも、上司の方針によりますよね。上司が「だめ」と言ったら、私たちは受講できませんから。西本課長は、女性だからというのは意識されていなくて、誰でも機会あれば、ということだと思います。

― いえ、「誰でも」ではなく、「有能な人であれば誰でも」ですよね。

西本
そこはベースにありました。外部研修の受講自体、社員全員にということではありません。基礎的な研修は全員が対象ですが、あるレベル以上の研修は選抜されるべきだと思います。

― 社員への研修は、もちろん一種の投資ですからね。社員の時間を使って、その分のお給料を払いながら受講料も払うわけですし。

西本
そうですね。その通りだと思います。

(次回に続く)

構成:萩谷美也子

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