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2008年10月 3日

【インドIT研修(2)】第二回 IT研修の日々から得られたもの

まず英会話と格闘した2週間

原田様

― 実際の研修はいかがでしたか。英語での授業になるわけですが。

原田
僕は、行ったばかりのときは、授業がちゃんと分かるほどには英語ができなかったので大変でした。それでも2、3週間ぐらい経つと、授業を聞き取れるようになりましたね。

― 2、3週間ぐらいでもう耳が慣れてきたのですね。話すほうはどうでしたか。

原田
授業で使う、専門的な質疑応答の部分は難しかったです。自分の言いたいことがなかなか伝わらないもどかしさはありました。でも、生活レベルでコミュニケーションをとる分には、すごく上達をしたと思います。

― 上高牧さんはいかがでした?

上高牧
私も聞き取りのほうは、まあまあ自然に慣れてきたかなという感じです。朝から晩まで基本的には、ずっと英語を耳にしますからね。英語で面白いなぁと思ったのは得意分野が分かれることでした。生活レベルでのコミュニケーション英語が得意な人、IT分野の英語が得意な人、両方が得意な人に大まかに言うと分かれると思います。これはTOEICのスコアは全く関係ありません。
原田さんは生活レベルでのコミュニケーション英語の専門家でしたね。まぁ彼の場合、日本語でのコミュニケーションも専門としているようでしたが(笑)。
私の場合は原田さんと少し違ってIT分野の英語がまぁまぁ得意。でも、やはり話すのは難しかったですね。講師に質問をしたいのに、なかなか思っていることを正確には言えないもどかしさは、ずっとありました。

― プレゼンテーションの練習もあるのですよね。

原田
最初の2週間行われたビジネス英会話の授業では、ロールプレイで前に出て発表する機会が多かったです。僕の場合、英会話の先生とすごく相性がよくて、そこで楽しんで英語を学べたことが、プレゼンテーションの自信になりましたね。

― その先生は、どういうところが良かったのですか。

原田
間違いを指摘するだけではなくて、すごく褒めてくれるのです。また、英語でジョークを言ってもすごく反応してくれて、僕はロールプレイで前に出るときは、「英語で笑いを取ってやろう」という気持ちでした(笑)。それを「ブラボー」とか「エクセレント」と言って、すごく笑ってくれたんですよね。

― ああ、それはいいですね。

原田
僕はベーシッククラスだったんですけれどね(笑)。

― 英会話のクラスは、ベーシックとアドバンスに分かれていたのですね。

上高牧
私はなぜかアドバンスに分けられてしまいましたが、実力的にはちょうど両方のクラスの境目あたりだった感じですね。ですから英語のクラスでは苦しみました。スコア的にも実力的にも、明らかにアドバンスクラスの一番下だったので、ちょっとつらかったですね。

― どこかで分けないといけないですからね。

上高牧
ミドルクラスをつくってほしかったです。

原田
研修初日にTOEICテストをやってクラス分けが発表されたのですが、「あ、上高牧さんもこちらへ」という感じで、彼はアドバンスクラスへ振り分けられたのです。

上高牧
そう、「ええーっ? 俺がアドバンス?」みたいな感じでした(笑)。行ってみたら、すごく英語ができる人もいて、アドバンスクラス内では実力差が結構あったと思います。

原田
そういう話を、帰ってからアパートでもするので、「ああ、アドバンスクラスはそうなんだ。それに比べてベーシッククラスはいいよ。すごく楽しいよ」とか言って(笑)。

上高牧
「ええなあ」って(笑)。
クラス分けにも問題がありましたが、私がもうひとつ感じたのは、もっとIT技術者が使うビジネス的なプレゼンテーションについての授業もやってほしかったということですね。原田さんの言う、楽しいプレゼンテーションも良かったのですが、IT技術者が使うビジネス用のプレゼンテーションはあまり意識していないように感じました。英語の講師がITのことを分かっていないという背景があるので仕方ない部分はあるのですが。楽しい英語もやって、それに加えてもっとIT技術者の仕事を意識したプレゼンテーションの授業もやってほしかったです。

― そうですね。日本に帰ってくると、なかなか日常的に英語で仕事のプレゼンテーションをする機会がないですからね。

上高牧
そう、せっかく研修で行ったのですから、それもやりたかったです。

― 学ぶ気持ち満々で行かれていますね。

これまで学んだこと、実務で身につけたことの総点検の機会に

上高牧様

― IT研修については、行かれる前にイメージされていたり、考えていらっしゃったことは達成できましたか。

上高牧
そうですね。私の場合は、業務系システム開発の上流から下流まで一通りは経験しています。研修を振り返ると自分の技術、知識や経験の整理ができたというところが一番大きかったのかなと思いました。
大学では、私は機械工学を専攻していたので、ITは専門分野外でした。就職してからITについて勉強を開始したのですが、情報処理技術者試験の試験勉強や実務でのOJTを通して自己学習形式でITを学んできました。それと比較するとAdvanced ITコースで扱う技術領域やレベルは、ソフトウェア開発技術者またはアプリケーションエンジニアの試験範囲と大体一致していて、試験の合格レベルにあるSEにとっては「復習」といった位置づけになると思います。

― これまでご自分の身につけてきたことを検証する感じですね。

上高牧
ええ、広く浅くIT技術全般を扱いますので、これまで自分が得てきた技術、知識、経験について正しい理解をしているのかといったことや、得意な分野、苦手な分野を再確認することができました。「この分野はかなり分かるけど、こっちの分野はちょっと分かってないな」という感じで、自分の強みと弱みの整理がついたというところはよかったと思います。
また私の場合、プロジェクトリーダやアプリケーションエンジニアとしてプロジェクトに参画しプロジェクトマネジメントと、要件定義・概要設計から基本設計といった上流工程と結合テスト・システムテスト、システム移行をメインに担当する機会が多くなってきています。そのため、どうしても詳細設計、プログラミング、単体テストといった実装工程を担当する機会が少なくなってきていて技術力や経験に偏りが出始めている時期にあるなあと自分でも思っていました。Advanced ITコースの授業はどちらかというと実装工程の教科が多いので技術力や経験の偏りを少し補うことができました。また私の場合は上流工程をメインで担当しておりますので、上流工程との関連を意識しながら断片的ではなく体系的に実装工程について学ぶことができました。ですから先ほどは復習と言いましたが、総合的なレベルアップに繋がるところもあったと思います。
イメージとしては、スポーツでいうところのランニングや走りこみによる足腰強化ですね。ある程度のキャリアを重ねたSEであっても、忘れている部分もあったりするので受講効果はあると思いました。

― お二人は4ヶ月のITコースなので、座学だけではなくて、ワークショップやミニプロジェクトもありましたよね。そちらはいかがでしたか。

上高牧
私の場合、プロジェクトマネジメントと上流工程をメインでやっているからということもありますが、現実のプロジェクトとはちょっと違うなという印象はありました。

原田
ミニプロジェクトはスケジュールの都合上、実装が実質3日か2日半ぐらいになります。そうすると、どうしてもやれることは限られてきますから、システムというよりはプラモデルを作った感じになります。でも一つのプロジェクトの要件定義から設計、実装、テストといった一連の流れを学ぶ意味では良いのではないでしょうか。

― 短期間で上流工程から実際に作る段階までやるので、プロジェクトの全体が見えるというところはあると思いますが。

上高牧
ミニプロジェクトはプロジェクト経験者のレベルアップというよりも、むしろプロジェクト経験の浅いSEや新人にいいのかなと思いました。プロジェクトというのは単純には進まないということ、設計やプログラミングをするまでにいろいろなプロセスがあったり、お客さまを含めたプロジェクト全体のチームプレーの難しさということのイメージが少しだけ感じられるのではないでしょうか。

原田
1年目の新人には、ちょっときついと思いますね。まだ何にも分からないから。ある程度プロジェクトに参画して経験積んだ2、3年目ぐらいがベストでしょうか。経験したことにより、受講する際にさらに深く知識を得られるのではないかと思います。

― 英語がTOEICで450、500あれば、2年目の方にもいいと思いますね。英語力がそこまでない場合には、もう少し経験年数があったほうががいいでしょう。英語力の部分を経験でカバーして理解することができますから。

原田
そうですね。多少、英語が聞き取れなくても経験してイメージがある場合は理解度が高いと思います。私は今まで、上流工程の仕事に携わった経験がなかったので、UML、デザインパターンといった教科は大変苦労しました。

上高牧
また英語の話になったので、研修について私の感じたことをひとつ。SBSの授業が日本人向けにアレンジされているのかもしれませんが、英語で授業が進むということ以外、教育内容、方法共に日本でのIT教育とあまり違いを感じませんでした。そのおかげで、英語が堪能ではなくても、それほど苦労なく受講することができたと思います。
これまでは、私は日本で行なわれている教育内容や方法について「これでいいんかな」と時々疑問を感じることがありました。でも今回の研修で差をそれほど感じなかったので、日本だけ方向性を間違っているということではないのだと思いました。ですから日本におけるIT教育内容や方法に不必要に不安感や劣等感を持つのではなく自信を持って日本でスキルアップを図ればよいのだと思えたことも、収穫の一つかなと思います。

― なるほど。その他に、新しく学べたことはありましたか。

上高牧
新しくではないのですが、研修を機に更に強化したい分野として具体的に挙げるならばOOPs(オブジェクト指向プログラミング)、UML、デザインパターンの3教科だったと思います。私の大学時代や新入社員時代には全く扱っていない分野でしたので。
私が新入社員研修を受けた時はVisual Basic 6.0が流行っていて、C/Sシステムの開発が多かった時期でした。それから8年、システム開発に用いる技術領域や開発手法は当然変わってきています。これら3教科については自己学習を中心としてキャッチアップはしていましたが高いレベルで理解ができていない分野でした。私と同じ年代のSEは同じようなキャリアを経ていると思います。研修仲間でもこの3教科について高いレベルで理解している人はあまりいないようでしたし、今後も継続して、より掘り下げて学習したいという意見を持つ人は多かったと思います。
ですから、今後、例えば情報処理技術者試験で言うとソフトウェア開発技術者やアプリケーションエンジニアに合格している人向けに、OOPs、UML、デザインパターンに特化して実践的なレベルまで扱うコースがあればよいかもしれません。
その他に今後のインド研修に期待しているのは、受講すること自体がSEとしての技術レベルを保証してステータスを得られるというレベルまで発展すれば面白いかもしれないですね。

― なるほど。ありがとうございます。

現地の若者との交流で感じたこと

原田様

― 原田さんはクロスカルチャー的なところを期待して行かれたというお話でしたが、それに関してはどうですか。

原田
4ヶ月という期間があったので、行く前に「これだけはしたい」というのを考えていました。一つ目が、インドの文化を知るために現地の方と直に触れ合いたいということ、もう一つは世界遺産を巡りたいということです。滞在中、土日を利用して10回ぐらい旅行に行きました。僕一人だけ「行きたい」と言っていたら10回も行かなかったと思いますが、アパートのメンバーが乗り気で、10回ともすべて一緒に旅行しました。

― 全部3人で。それはすごいですね。

原田
日本と違うと一番強く感じたのは、インドには深い信仰心に根付いた生活があることです。研修センターでバディと呼ばれる、日本語を学んでいる現地の若者を紹介されて親交を深める機会があったのですが、バディに「あなたが信じている宗教は何ですか?」と聞かれたとき、正直に「家は仏教だけど、俺は仏教の教えはよく知らない。でも自分が窮地に立たされたとき、何を信じるって自分を信じるんだよね」と話をしたら、すごく共感してくれて、「僕もヒンドゥー教の神様を信じているけど、やっぱり自分の中に神がいるんだよ」といわれたのが印象的でした。
若者と話す機会が多かったのですが、「俺はヒンドゥー教でベジタリアンなんだけど、たまにチキン食べるよ」という話もありました(笑)。肉は食べないはずのベジタリアンが、たまに食べるらしいのです(笑)。それを聞いて、「インド人の若者も結構多様化しているんだな。日本の若者だけじゃないんだ」と思いました。

上高牧
私も最近インドからメールが来て、その人もベジタリアンですけど、「最近チキンも食べるようになりました」と、矛盾したことを書いてきましたよ(笑)。いまだに彼らの持っている原則と行動の関係がよく分からないです。断食する日があるらしいのですが、「断食用のご飯」があったりとか(笑)。

原田
あったね(笑)。

上高牧
バディの家に遊びに行ったら、断食用のメニューがあって、それを食べさせてもらったんです。「ええーっ!思いっきり食べてるやん。それって断食なの?」と、思わず聞いたのですが。

原田
ヒンドゥー教のカレンダーには断食の日に印がついています。でも、その日に断食するわけではないらしいのです。「じゃあ、どういうときするの?」と聞いたら、「食べ過ぎた次の日とか…」と言っていました(笑)。「それじゃ、断食じゃなくてダイエットじゃん!!」と思いました。

上高牧
言うとった、言うとった(笑)。

原田
結構アバウトな面もありましたね(笑)。インド人も深い信仰心があるとはいえ、インターネットなどに感化されて、古き良き習慣がなくなってきているのかなとか思ったりしました。でも、若い人でも深い信仰心に基づいた人の言葉は、やはりすごく重いんですよ。

― その若い人たちは、ITの技術者なのですか?

原田
多くは学生さんです。中には働いている人もいましたが。

上高牧
ITを専攻している学生もいましたが、IT以外を専門とする学生もいました。バディというのは、SBSのスタッフが紹介してくれる学生や若手社会人を中心としたインド人のことです。SBSのスタッフが通っていた大学の後輩とか友だちという感じらしかったです。「友だちの友だちみたいなもの」と言っていましたから。

― インドの学生さんで、日本人と話してみたい人を集めてきた感じなのでしょうか。

原田
そうですね。ほとんどが日本語を学んでいる学生さんです。

上高牧
何かしら日本に興味がある人たちですね。

― そういう人たちと英語で話したり日本語で話したりするのですね。

原田
僕らは英語、向こうは日本語です。

上高牧
どうしても英語でうまく言えないときは、日本語を使っていました。

― インドの若い人も、いろいろ変化の中にあるということでしょうか。

原田
僕はそう感じましたね。良くも悪くも。

上高牧
でも、私は昔のインドのことをよく知らないので実は以前からそうだったのかもしれません。私は変化の無い国や社会は基本的には無いと思っていて、変化のスピードが国や社会によって違うのではないかと思っています。インドの変化のスピードが速いのか遅いのか…4ヶ月だけでは分かりませんね。なんとも言えないですね。

― いずれにせよ、それは現地で交流したがゆえの、貴重な経験でしたね。

(次回に続く)

構成:萩谷美也子

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